内容説明
わたしたちは動物のことをぜんぜん知らない。動物行動学者が綴る爆笑必至の科学エッセイ。
目次
1 見た目の誤解(「かわいい」と「怖い」―カモメはカラスと同じ、ゴミ漁りの常習犯;「美しい」と「醜い」―ハゲタカはハゲだから清潔に生きられるのだ;「きれい」と「汚い」―チョウは花だけじゃなく糞にもとまる)
2 性格の誤解(「賢い」と「頭が悪い」―鏡像認知できるハトとできないカラス、賢いのはどっち?;「やさしい」と「ずるい」―カッコウの托卵は信じられないほどリスキー;「怠けもの」と「働きもの」―ナマケモノは背中でせっせとコケを育てている;「強い」と「弱い」―コウモリの飛行能力は戦闘機並みに高い)
3 生き方の誤解(「群れる」と「孤独」―一匹狼は孤独を好んでいるわけじゃない;「亭主関白」と「恐妻家」―ライオンのオスはトロフィー・ハズバンド;「子煩悩」と「放任主義」―カラスの夫婦だって子育てに苦労する)
著者等紹介
松原始[マツバラハジメ]
1969年奈良県生まれ。京都大学理学部卒業、同大学院理学研究科博士課程修了。専門は動物行動学。東京大学総合研究博物館・特任准教授。研究テーマはカラスの行動と進化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
COSMOS本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
142
まあまあ。動物行動学の先生が、私たちが一般に抱いている動物たちのイメージとは異なる実際のところについてつらつらと書いたエッセー。「賢い」とはどういうことか、「凶暴」とはなにを指すのかなど、私たちがふだん無意識的に使っている、自分の見たものなどを一定の枠(カテゴリー)に当てはめて単純化してしまう思考のクセを指摘する本……といえなくもない。具体的な話がいっぱい。ボリュームはそこそこあるけど、文章が軽くてさくっと読める。2021/04/22
岡部敬史/おかべたかし
121
これは実に面白い。《イルカは温厚/サメは凶暴》など、人間が抱く見た目のイメージと実際は違うところを、わかりやすくユニークな筆致で書いてくれる本。今まで読んだ動物雑学系の本でいちばんよかった。この松原先生、サイコーだな。いつか一緒にお仕事したい。2021/07/12
ぶち
103
日本の大人は組織論やリーダー論が大好きで、動物の世界にも会社や政治組織のモデルを当てはめて、悦に入っているところがあります。男性や女性の理想像のモデルに当てはめたりもしています。その結果、賢い・頭が悪い・狂暴・温厚・きれい・汚いなどの印象を動物に抱きます。でも、この印象は単なる見た目や先入観からくるだけの偏見なんですね。この本は動物の姿や行動について明かしてくれます。それは、生存をかけた戦略なんです。この戦略というか知恵が面白くて、面白くて....イラストも精緻で表情豊かで、見ているだけで楽しくなります。2021/07/22
みかん🍊
98
『カラスの教科書』の松原さんの本、研究者でありながら学術的な内容を羅列しているだけでなく動物、生物としての行動を例えを用いて分かり易く語ってくれているので素人でも面白い、生物の究極的な目的は繁殖であり遺伝子を残す事、そのために進化したり行動を起こしているので人間が人に置き換え賢いとか狂暴とか残酷とか勝手に思っているだけで行動には理由がある、動物全般について書かれているが、やはり鳥類多し、烏の擁護は忘れない。2021/07/30
トムトム
58
ひと昔前の生物学や動物行動学をちょっと知っていて、最新の生物学を知りたくなった人におすすめな本!詳しく分かりやすく面白い、完璧な本だと思います。生き物好きの言いたい事を全て代弁してくれている本で、さすが松原先生!と嬉しくなりました。2021/07/09