内容説明
山とは即ち異界なり。山小屋主人や登山者たちが経験した、この世の現象とは思えない実話拾遺集。登山歴40年を超える著者が山で聞いた、ときに恐ろしく、ときに神秘的な、奇妙な山の体験談56篇を収録
目次
1 山の幽霊ばなし(真冬の幽霊―とある山小屋三代目(談)
体が透ける―とある山小屋従業員(談) ほか)
2 人智を超えるもの(浮かび上がる遭難遺体―中央アルプス・ホテル千畳敷元山岳対策支配人 木下寿男(談)
夢に現れた遭難現場―北八ヶ岳・黒百合ヒュッテ主人 米川正利(談) ほか)
3 自然の不思議(森のなかから助けを求める声―丹沢・鍋割山荘小屋番 草野延孝(談)
死者を悼むリス―北八ヶ岳・しらびそ小屋主人 今井行雄(談) ほか)
4 ひとの不思議(ザックの中身―中央アルプス・ホテル千畳敷元山岳対策支配人 木下寿男(談)
謎のバンダナ―奥多摩・雲取山荘主人 新井信太郎(談) ほか)
著者等紹介
工藤隆雄[クドウタカオ]
1953年、青森市生まれ。大学卒業後、出版社勤務を経て、新聞・雑誌を舞台に執筆活動を展開。毎日児童小説優秀作品賞、盲導犬サーブ記念文学賞大賞等を受賞。日本大学芸術学部文芸学科講師(ノンフィクション論等)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
29
怪談朗読の動画の視聴にハマってしまい、山中にて人外や幽霊と遭遇する等の怪談のいちジャンルである、山モノを目当てにしたが、それに類する割合は多くなく、山小屋における管理人や登山者に因んだエピソードが多い。遭難から不思議な作用で生還した話、逆に死に導かれた話、遭難者遺族と遺体の引き合わせの縁や、恋愛、不倫などバラエティーに富む。必ずしも因果応報、勧善懲悪なパターンには落ちないので、 山とは、自然とはそういうものという認識に至る。ちなみに登山は個人的には御免である。2020/09/13
Kazuko Ohta
24
幼い頃から山好きの両親にあちこちに連れて行かれたせいかおかげか、私は「海もの」よりも「山もの」に惹かれる傾向があります。運動嫌いゆえ今は登山はしないけど、このタイトルは読まずにはいられない。収録されている56話におどろおどろしい話はありません。いわゆる怖い話を期待して読むと肩すかしを食らう。むしろ山のちょっとした不思議に触れて山に登ってみたくなる、そんな話ばかりです。自然に助けられたり、霊に助けられたり、動物が何かを知らせてくれたり、実際にありそう。熊って普通は人間を避けるものなのですね。そんな豆知識も。2020/08/04
ニンジン
11
山にまつわる不思議な話をまとめたお話。 本格的な怪談話ではないけれど、人も自然もまだまだ分からない事が沢山あると感じさせてくれます。 実際に山に関わる人から著者を通じて色んな話を聞けた気分になれて面白かったです。 山へ行ってみたくなりますが、夜の山小屋は怖そう…2021/04/15
mittsko
10
非常に素晴らしい、広義の実話怪談(ヒトコワを含む)の一冊…! 名著だと思う 色んな人にオススメしていきたい…! とくにボクが好きなのは、第四部「ひとの不思議」でした 山をめぐる、ちょっとした不思議事もまぶされた、人間模様の数々 ※ 「血を引く」「おいらんのかんざし」「七転び八起木」、大好き ※ 「幽霊に助けられた女性たち」「避難小屋の怪」「幻のかりんとう」「ダケカンバの夢」「天狗のテーブル」「ザックの中身」、好き2024/09/19
yamakujira
10
山小屋主人や登山者から聞いた56話のミステリーを「山の幽霊ばなし」「人智を超えるもの」「自然の不思議」「ひとの不思議」の4章で紹介してくれる。東京新聞刊の単行本は既読でも、改編で未発表の4話を収録ということで読んだものの、どれも記憶になくて全編初読のような気分で楽しめた。各章からそれぞれ、幽霊の正体見たり「避難小屋の怪」、血縁の不思議「血を引く」、第六感がよみがえる「寒気」、迷宮入りの「水晶山の遭難」が印象的だったけれど、最近は似たような本が多いから、またいつしか忘れちゃうんだろうな。 (★★★☆☆)2021/03/01
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