内容説明
「敵」の存在こそ、ナショナリズムの原動力であり持続力ではないか。近代ドイツの事例から、一国史的ナショナリズム論への反省を迫るヤイスマン先生の歴史学講義。
目次
ヤイスマンとドイツ・ナショナリズム研究(木村靖二)
諸国民の敵対―政治的アイデンティティ構築の理論
フランス、ドイツ、そしてヨーロッパ文明をめぐる闘い―ナポレオン戦争から独仏戦争まで
最後の敵―負の普遍主義、ナショナリズムと反ユダヤ主義
著者等紹介
木村靖二[キムラセイジ]
1943年生まれ。大学評価・学位授与機構教授、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
7
「ドイツの近代化の遅れを強調し、それをドイツ史の特殊性とみて、そこからナチズムにいたる歴史過程を説明しようとするヴェーラーらの「特有の道」論は、イギリスのイリーら若手研究者から、またドイツでもニッパーダイなどから、それぞれ次元を異にした批判を招くようになった」「日本のドイツ史研究者のあいだでは、伝統史学への批判と社会科学的歴史研究への親近感、さらに歴史研究の啓蒙的役割への期待から、ヴェーラーらの潮流に自己を投影して重視する傾向があった」ドイツ史学の整理に便利2016/03/04
Kazuki Yama
0
この本を読むと内在的なナショナリズムを発露させるためには、内在的仲間意識を動員させるための他在的要員が必要であるというprototypeな議論がいかに重要な意味を持つかをひしひしと感じさる。ただし、予備知識として先にB.アンダーソン『想像の共同体』を読んでおきたい。2010/10/15