感想・レビュー
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きいち
30
63-71年。戦中から宮本自身百姓の一人として、農民じしんが主体となった世界を目指し続けて二十年、思い描いた未来とは全く異なる現実に対する苦々しい思い、置き去り感がまっすぐ語られる。どんなことがあっても評論家にならず当事者として、その時の環境に対して動こうとしてきた宮本の、敗北宣言ともとれる文章が切ない。◇でも。敗北をちゃんと受け止めるのも宮本ならでは。ここでの敗北を糧に、宮本個人は次の闘いの舞台である民俗、文化へと向かう。それこそが自分の本来のステージであると言わんばかりに。そう思うと、勇気づけられる。2016/04/04