出版社内容情報
必需品の価値、「不在世代」への配慮、産業化の推進…、異なる主張を緻密に把握し、現代への示唆を得る。
内容説明
19世紀前半のドイツにおける、イギリス古典派の予定調和観を継承しつつも価値論に手を加えたドイツ古典派、非産業主義の異端者として世代間継承を主張したドイツ・ロマン主義、保護貿易による産業化を主張し拡張主義を含んだフリードリヒ・リスト、これら3つの経済思想に着目して、織りなす思想空間を描き出すとともに、その客観的な使用価値論、世代間倫理、産業化と拡張主義、の現代的な意味を探る。
目次
序 多様な諸思想のアンサンブルとしての19世紀前半のドイツ経済思想
第1部 ドイツ古典派(スミス経済思想の移入から客観的な使用価値論の形成へ;ロッツにおける客観的な使用価値論と「共通の意見」概念;ラウにおける「政治経済学」の定義、経済学史の把握、「種類価値」概念の提起;ドイツ古典派の経済学構想の意味)
第2部 ドイツ・ロマン主義(ドイツ・ロマン主義の経済思想家における啓蒙と野蛮の問題;アダム・ミュラーの自由論と世代間倫理;アダム・ミュラーにおける“Staatskunst”の構想―当時の国家・経済学の概念規定と、ゲーテ『タッソー』への言及との関連で;補論 ドイツ・ロマン主義の人文的側面と経済・国家的側面との連接)
第3部 フリードリヒ・リスト(フリードリヒ・リストの行動と著述の軌跡;『国民的体系』と「農地制度論」;小林昇のリスト研究とこれから)
結 19世紀前半のドイツから現代へ
解題
著者等紹介
原田哲史[ハラダテツシ]
1958年生まれ。1980年福島大学経済学部卒業。1982年名古屋大学大学院経済学研究科博士前期課程修了(後期課程に進学)。1987年ドイツ・フライブルク大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。現在、関西学院大学経済学部教授。専門分野はドイツ社会・経済思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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