MINERVA社会福祉叢書
社会的養護の歴史的変遷―制度・政策・展望

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  • サイズ A5判/ページ数 340p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784623080410
  • NDC分類 369.4
  • Cコード C3336

出版社内容情報

「児童救済」から児童家庭福祉としての「社会的養護」へ。児童養護施設を中心に、里親制度も含めた全体を概観し、今後の在り方を展望本書では、近代的施設養護の誕生期である明治時代から現代までの社会的養護に関する制度・政策について、特に、児童養護施設に関する展開を中心に分析する。また、家庭養護の代表格である里親制度等との相互関連性や「愛着理論」等の影響についても触れており、歴史的展開の全体像を捉えている。このように、社会や経済の動向に伴う社会的養護の流れを総括することで、現代の課題を明らかにし、今後の子どもや保護者の人権保障を実現するような制度・政策の在り方に迫る。


はしがき



序 章 今、児童養護施設をめぐる歴史的展開を明らかにする必要性

 1 「養護」をめぐる議論

 2 児童養護施設をめぐる展開を明らかにする意義





 第?部 戦前の慈善事業と児童保護制度・政策の展開



第1章 明治期における近代的施設養護の誕生

 1 明治維新に伴う貧困と社会情勢のゆらぎ

 2 産業革命期における児童救済施設の近代化

 3 国家の管理・支配に特徴づけられた独占資本確立期

 4 明治期の展開にみる近代的施設養護の萌芽



第2章 大正期の社会事業成立から昭和戦前期の戦時厚生事業へ

 1 牽制策としての児童保護政策と児童保護事業

 2 公的保護思想と児童の権利思想の登場

 3 戦後に引き継がれた思想や事業





 第?部 戦災孤児収容役割から開始された養護施設の展開??「児童福祉法」制定から第50次改正まで



第3章 戦災孤児収容役割としての養護施設

 1 終戦前後の育児(孤児)院の状況

 2 「児童福祉法」制定の経緯とその限界

 3 「児童福祉法」制定までの変遷にみる養護施設の位置づけ

 4 「児童福祉施設最低基準」制定とその課題

 5 「養護」の誕生と「養護」概念の課題



第4章 施設養護に向けられた疑義??ホスピタリズム論争

 1 わが国におけるホスピタリズム論争

 2 ホスピタリズム論争期の児童養護制度・政策の展開

 3 ホスピタリズム論争がもたらした養護施設抑制政策



第5章 養護施設の積極的な意義の模索

 1 高度経済成長期の児童養護制度・政策の展開

 2 積惟勝の提唱した集団主義養護論と全国養護問題研究会

 3 全国養護施設協議会による「子どもの人権を守るために」集会の終了

 4 集団主義養護論の意義と限界



第6章 児童養護実践研究の開始と「社会的養護」の浸透

 1 継続する養護施設縮小政策と潜在化する養護ニーズ

 2 運動体による児童養護実践研究の開始

 3 「脱施設化論」の登場と「社会的養護」の浸透

 4 政策的に放置された児童養護問題



第7章 定員割れ問題を背景とする施設再編構想

 1 定員割れ問題の背景??戦後養護施設に累積する課題

 2 臨調・行革路線の影響を受けた児童養護制度・政策

 3 施設再編構想に関する議論の整理

 4 「養護施設の近未来像」報告書にみる全養協の意図と課題

 5 「児童福祉法」第50次改正を見据えた動向

 6 「施設存続」策としての施設再編構想





 第?部 児童虐待問題対応役割としての児童養護施設の展開



第8章 「児童福祉法」第50次改正と家庭養育至上主義からの転換

 1 「児童福祉法」第50次改正における養護施設に関する変更点

 2 「自立支援」策を中心とする児童養護制度・政策の展開

 3 「児童虐待防止法」の制定

 4 家庭養育至上主義からの転換

 5 児童虐待対応役割としての「児童養護施設」に伴う矛盾



第9章 「子供を未来とするために??児童養護施設の近未来(近未来像?)」策定にみる運動体の意図

 1 「近未来像?」策定の経緯

 2 「近未来像?」と「近未来像?」の比較検討

 3 「近未来像?」策定後の制度展開

 4 求められる子どもの権利擁護に関する本質的議論



第10章 「児童虐待防止法」制定以降の「社会的養護」再編

 1 児童虐待問題に対する制度の進展

 2 「社会福祉法」制定が児童養護施設へ与えた影響

 3 社会保障審議会における「社会的養護」再編の動向

 4 児童虐待対応策として進展する「社会的養護」

 5 存続・拡充を意図した各種施設協議会の動向

 6 急進する児童虐待対応策における課題



第11章 子どもの権利擁護に関する国際的潮流と「社会的養護の将来像」

 1 「国連・児童の代替的養護に関する指針」および国連・子どもの権利委員会総括所見(第3回)の方向性

 2 「社会的養護の課題と将来像」にみるわが国の方向性

 3 社会保障審議会における「社会的養護」に関する動向

 4 児童虐待問題と子どもの貧困問題に関する制度的進展

 5 児童養護に関わる新たな運動体の登場

 6 「社会的養護」の今後の展開



補 論 戦後の児童養護制度・政策における「愛着理論」の影響

 1 ホスピタリズム論争の根拠とされた母性剥奪理論

 2 愛着理論に関する研究の進展

 3 児童虐待問題対応策にみられる愛着理論の影響

 4 科学的研究に基づく児童養護制度・政策の必要性

 5 子どもの権利と家族による養育の現代的意味



終 章 わが国の児童養護制度・政策に関する課題と今後のあり方

 1 わが国の児童養護制度・政策の展開に関する総合的考察

 2 児童養護問題に関連する運動体の展開とその特質

 3 児童養護問題と保育問題・母子福祉問題との関連性

 4 児童養護制度・政策の本質的課題と今後のあり方

 5 今後の研究課題



引用・参考文献

資料編

あとがき

索  引

吉田 幸恵[ヨシダ ユキエ]
著・文・その他

内容説明

本書では、近代的施設養護の誕生期である明治時代から現代までの社会的養護に関する制度・政策について、特に、児童養護施設に関する展開を中心に分析する。また、家庭養護の代表格である里親制度等との相互関連性や「愛着理論」等の影響についても触れており、歴史的展開の全体像を捉えている。このように、社会や経済の動向に伴う社会的養護の流れを総括することで、現代の課題を明らかにし、今後の子どもや保護者の人権保障を実現するような制度・政策の在り方に迫る。

目次

今、児童養護施設をめぐる歴史的展開を明らかにする必要性
第1部 戦前の慈善事業と児童保護制度・政策の展開(明治期における近代的施設養護の誕生;大正期の社会事業成立から昭和戦前期の戦時厚生事業へ)
第2部 戦災孤児収容役割から開始された養護施設の展開―「児童福祉法」制定から第50次改正まで(戦災孤児収容役割としての養護施設;施設養護に向けられた疑義―ホスピタリズム論争;養護施設の積極的な意義の模索;児童養護実践研究の開始と「社会的養護」の浸透;定員割れ問題を背景とする施設再編構想)
第3部 児童虐待問題対応役割としての児童養護施設の展開(「児童福祉法」第50次改正と家庭養育至上主義からの転換;「子供を未来とするために―児童養護施設の近未来(近未来像2)」策定にみる運動体の意図
「児童虐待防止法」制定以降の「社会的養護」再編
子どもの権利擁護に関する国際的潮流と「社会的養護の将来像」
戦後の児童擁護制度・政策における「愛着理論」の影響
わが国の児童養護制度・政策に関する課題と今後のあり方)

著者等紹介

吉田幸恵[ヨシダユキエ]
1978年生まれ。2016年名古屋市立大学大学院人間文化研究科博士後期課程単位取得満期退学(2015年3月)、人間文化博士。現在、至学館大学健康科学部こども健康・教育学科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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