内容説明
桓武天皇(七三七~八〇六)、(在位七八一~八〇六)。「軍事と造作」の日々の中の人生。奈良から平安への時代の変わり目にあって国事に奔走し、平安時代四百年の王朝はもとより、京都の礎を築いた功績者の、新しい地平を目指しての苦難に満ちた生涯を辿る。
目次
序章 生誕とその時代
第1章 桓武天皇の登場
第2章 奈良時代から平安時代へ
第3章 桓武天皇朝の幕開け
第4章 長岡京時代
第5章 平安時代の創始
第6章 晩年の足跡
終章 崩御とその後
著者等紹介
井上満郎[イノウエミツオ]
1940年京都市生まれ。1964年京都大学文学部卒業。1969年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。奈良大学助教授、京都産業大学助教授などを経て、現在、京都産業大学日本文化研究所所長、京都市歴史資料館館長。専攻は日本古代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こぽぞう☆
20
平安京を築き、蝦夷を掃討した桓武天皇。明治になるまで、長いこと忘れられた天皇だったようだ。奈良時代から平安初期の天皇家を舞台にした小説を何冊か続けて最近読んだので、入り込みやすかった。2016/11/06
MUNEKAZ
17
桓武天皇の評伝。かなり桓武天皇びいきな筆致で、ちょっと引っ掛かりを覚える部分も。不安定な皇位継承のためか、その正統性を証明するが如く「造作」と「軍事」に明け暮れた生涯が綴られる。藤原氏と反藤原氏グループの対立が渦巻く奈良時代以来の政局の中で、第三極として母の出自である渡来系官人を引き上げ、自らの政治基盤としたというのは面白いところ(坂上田村麻呂もルーツは渡来系としていたというのは知らなかった)。即位以来の浪費を批判されるところも含め、良くも悪くも自分の力量で時代を切り開いていった帝王の姿がそこにある。2021/04/21
りー
10
平安時代の最初の一歩を踏み出した、強烈な個性をもった天皇の生涯を、山部王時代→皇太子時代→即位→蝦夷との戦争・長岡京造営→平安京造営→晩年→崩御後、と、丁寧に追った本。一人の人物として桓武帝を認識することができました。なんというか、奈良時代を切り捨てるようにあらゆるものと戦っている。身内である皇族をはじめ、旧都の仏教勢力、古くからの豪族たち、蝦夷たち。晩年は自分のふるった大鉈の結果に苦しみ、苦しみながらそれを正しく見つめて改め、次代の負担をできるだけ軽くしようと努めた。強烈な光と闇を背負った開拓者でした。2019/09/23
そーだ
0
借り物。2012/02/12
marukuso
0
平安京=今の京都に都を遷都させた天皇。桓武の母方が渡来人系であり、また天武から天智系皇統の移り変わりを体現し当時としても異色な血統の上にあった。蝦夷討伐と宮都移転の二大事業に挑戦し莫大なお金を使ったが為に周りから批難されるも、自分の信念を貫き平安1100年の平和な時代を築いたその様はまさに歴史に生きた男であり、格好良く映って見える。2013/01/14