出版社内容情報
年金改革の動向を政治の論理から比較分析。
内容説明
年金改革はすぐれて政治的な問題である。異なる問題状況や多様な制度構造のなかで、政治はどのように作用しているのか。本書は、世界各国の年金制度、高齢化問題、年金改革を比較分析し、年金政治の共通性と多様性を規定する要因とその効果を浮き彫りにする。
目次
西ヨーロッパ、北米、東アジアにおける高齢化と年金改革の論理
スウェーデンの年金改革―成熟した年金システムにおける抜本的改革
イタリアの年金改革―膠着から包括的改革へ
ドイツの年金改革―継続とパラダイム転換の間
フランスにおける年金制度改革の政治過程―交渉、デモ、遅延
スイスの年金改革―厳しい制度的制約の下で社会的変化に順応した新制度を作る試み
イギリスの年金改革―自由主義的福祉国家のテスト・ケース?
アメリカの公的年金改革―なぜ改革は実現しないのか
カナダの年金改革―変化のなかの均衡
韓国の年金改革―社会連帯と財政不安の葛藤
高齢化への経済対策―シンガポールを事例に
日本の年金改革政治―非難回避の成功と限界
著者等紹介
新川敏光[シンカワトシミツ]
現在、京都大学大学院法学研究科教授
ボノーリ,ジュリアーノ[ボノーリ,ジュリアーノ][Bonoli,Giuliano]
現在、スイス・フリブール大学社会事業・社会政策学部準教授
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感想・レビュー
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ふにゃ
1
「新制度派」「経路依存性」「非難回避の政治」「拒否点」等々見知らぬ概念について勉強。これらの概念からつくられた枠組みをうまく使って分析しているのが終章新川論文。/高齢化により、どこの国でも年金の拡充は行き詰っており、年金の縮減は必至。ただ、国によっては年金を縮減していない国(アメリカ、カナダ、韓国)もある。その理由は年金への支出がそもそも少ない・派手にやりすぎた・政党間の対立・政府と行政の対立(韓国!)等々。/新川論文では、偶然の要素もまた政策に影響することが書かれている。物語のようで面白かった。2013/06/17