出版社内容情報
ハリー・スタック・サリヴァン[ハリースタックサリヴァン]
著・文・その他
中井久夫[ナカイヒサオ]
翻訳
宮?隆吉[ミヤザキリュウキチ]
翻訳
高木敬三[タカギケイゾウ]
翻訳
鑪幹八郎[タタラミキハチロウ]
翻訳
内容説明
本書は、サリヴァンの代表的遺著であり、『現代精神医学の概念』とともにもっともよく読まれ、引き合いに出されることの多い書である。“精神医学は対人関係論である”という題名は、その明快さと歯切れのよさによって、サリヴァン精神医学を特徴づけるキャッチフレーズとなり、一世を風靡した。精神障害を病む患者の多くは、過去や現在の対人関係に苦しんでいる。わが国でも、対人関係の「気づかれ」が病因になることは、周知であろう。サリヴァンは、人間の複雑な動態や病因を、実験や薬物ではなく、対人関係を基礎に把えようとする。実際サリヴァンは、患者との面接においても「関与しながらの観察」をおこない、治癒への道をひらいてきた。本書では、幼児期を中心に児童期、青春期など人間の各発達段階における対人関係の重要性が説かれ、母親役や仲間、社会との歪んだ関係がいかに病因になりうるかが、懇切に示される。なぜ幼児は「おやゆびしゃぶり」をするのか?同性から異性へと関心の移る思春期の心身の変化はどのようなものか?われわれが日頃体験し、出会う場面についても、サリヴァンは明確に答えてくれる。青春期の社会化やその失敗を重くみる点など、フロイトと比べてみるのも、また対人関係のみならず、マイノリティへの関心など、R.D.レインの本と読み併せてみても興味深い。現代の主流の生物学的精神医学への批判の書でもある。
目次
第1部 導入概念(発達論的接近法の意義;定義集 ほか)
第2部 発達の諸段階(幼児期―その始まり;幼児期―力動態勢という概念―第一部 ほか)
第3部 不適切不充分な対人関係のパターン(早期に発見する精神障害―分裂病質と分裂病;睡眠、夢、神話 ほか)
第4部 諸人民の精神医学をめざして(諸人民の精神医学をめざして)
著者等紹介
サリヴァン,ハリー・スタック[サリヴァン,ハリースタック] [Sullivan,Harry Stack]
1892‐1949。アメリカのニューヨーク州中央部に、アイルランド系移民の子として生まれる。1917年シカゴ医学校を卒業、軍医を経て1923年頃から1930年にわたりシェパード・アンド・イノック・プラット病院に勤務。入院中の分裂病患者に対するインテンシヴな精神療法的接近を試みた。1930年代にはニューヨークで開業医として強迫神経症の治療にあたり、38年に発刊されたPsychiatry誌の主筆となる。社会科学との交流、政治精神医学という新しい領域への活動を行ったが、1949年国際会議に出席のためパリに滞在中客死した
中井久夫[ナカイヒサオ]
1934年奈良県に生れる。京都大学医学部卒業。神戸大学名誉教授
宮崎隆吉[ミヤザキリュウキチ]
1947年高知県中村市に生れる。1972年神戸大学医学部卒業。現在、医療法人社団宮崎クリニック理事長
高木敬三[タカギケイゾウ]
1952年広島県広島市に生れる。1979年神戸大学医学部卒業。現在、高木クリニック院長
鑪幹八郎[タタラミキハチロウ]
1934年熊本県に生れる。1962年京都大学大学院博士課程修了。教育学博士。広島大学名誉教授、京都文教大学名誉教授。2021年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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