出版社内容情報
1930年代前半にドイツで書き始められ、亡命先のアメリカで完成、1957年に公刊された本書は、アーレントにとっては「自伝としての伝記」であり、個人的な思いが色濃く反映した稀有な作品であった。最終的に自覚的パーリアとして生きた一人のユダヤ人女性ラーエル(1771-1833)の生涯を著者自身と二重化しながら描いた書を、アーレントへの注目がますます高まる現在、新版で刊行する。解説・矢野久美子
内容説明
「100年も前に死んでしまったけれど、ラーエルはわたしの本当の親友」。一人の人間の考えに考えぬいた思索の人生を追う、アーレントによる「自伝としての伝記」。
目次
ユダヤ女性そしてシュレミール 一七七一‐一七九五年
世の中へ 一七九五‐一七九九年
終わったあと・どう生きる? 一七九九‐一八〇〇年
異国への逃亡・美しい世界 一八〇〇‐一八〇一年
魔法・美・愚行 一八〇二‐一八〇四年
解答・大いなる僥倖 一八〇五‐一八〇七年
同化 一八〇七‐一八〇八年
昼と夜
路傍の乞食 一八〇八‐一八〇九年
ある友情の破綻 一八〇九‐一八一一年
市民的改善・出世の物語 一八一一‐一八一四年
賎民と成り上がり者のはざま 一八一五‐一八一九年
ユダヤ性から逃げられはしない 一八二〇‐一九三三年
ラーエルの手紙および日記より
著者等紹介
アーレント,ハンナ[アーレント,ハンナ] [Arendt,Hannah]
1906‐1975。ドイツのハノーファー近郊リンデンでユダヤ系の家庭に生まれる。マールブルク大学でハイデガーとブルトマンに、ハイデルベルク大学でヤスパースに、フライブルク大学でフッサールに学ぶ。1928年、ヤスパースのもとで「アウグスティヌスの愛の概念」によって学位取得。ナチ政権成立後(1933)パリに亡命し、亡命ユダヤ人救出活動に従事する。1941年、アメリカに亡命。1951年、市民権取得。その後、バークレー、シカゴ、プリンストン、コロンビア各大学の教授・客員教授などを歴任、1967年、ニュースクール・フォー・ソーシャル・リサーチの哲学教授に任命される
大島かおり[オオシマカオリ]
1931‐2018。東京女子大学文学部卒業。ミヒャエル・エンデの『モモ』(岩波書店、1976)など、訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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