出版社内容情報
政治権力は歴史性をいかにして作り上げるのか。三十年戦争からナチズムまで、ドイツを支配した四人の権力者から、国家・時間・歴史の関係をみる。過去と国家を切断し、伝統との決別を図った大選帝侯ヴィルヘルム、国家は時代を超越するとして権力を維持したフリードリヒ二世、歴史の偶然性を重視し、政治的決定を際立たせたビスマルク、ナチズムと永遠の時間を直結させ、歴史を拒絶したヒトラー。危機に揺れる今日の政治と歴史を架橋する一書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
13
フリードリヒ・ヴィルヘルム、フリードリヒ大王、ビスマルク、そしてナチス。ドイツ史に名を残す4つの権力の、歴史と時間に関する捉え方を論じた一冊。初っ端で難解な歴史哲学の話が出てきて身構えるが、各論に入れば四者四通りの歴史意識が軽快な筆致で描かれており面白い。「歴史」とは過去から未来に流れる直線的な時間ではなく、それぞれの権力体が自らの意志で描き出す物語であり、一様ではないことがよくわかる。またその裏には、三十年戦争、1848年革命、第一次世界大戦での敗北というトラウマが強く残っていることも印象的であった。2021/08/13
allSS0413
0
プロイセンとして始まるドイツの各時代の権力者たちが歴史をどう考えていたのかを考察する本。各時代の権力者たちが当時の世相と自分の権力を維持するために歴史をどう捉えていたのかここまで違うのは面白い。ナチスドイツに関しても古代と未来しか想定していないというのも面白かったしビスマルクの歴史とは大河の様な物で我々はその上で船のかじ取りをしているに過ぎないなど(これは革命後の時代を革命前に戻すのは不可避であるとの認識)読んでいてなるほどと思えた。味方にしたと思ったら次の日には敵になって困らせるビスマルクが面白い。2025/03/24