出版社内容情報
北と南、女性と男性、人間と動物……モラルの根源を物語で追究してきたノーベル賞作家による近作エッセー集。ゲーテ、クライスト、ホーソーンらの誰もが知る古典小説から、ズヴェーヴォ、ヴァルザー、ネミロフスキーの問題作、そしてP.ホワイト、ナイポールの名作まで、実作者ならではの分析と独自の角度から論じる、ちょっと類のない本。
内容説明
モラルの物語を紡いできた作家は最高の読み手でもある。小説の古典から現代の問題作までを衰えぬ批評的センスで分析し素描する、21世紀のための読書指南書。近年アルゼンチンの出版社「アリアドネの糸」からクッツェーが刊行したスペイン語版「個人ライブラリー」への序文つき。
目次
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ『若きヴェルターの悩み』
ハインリヒ・フォン・クライスト―二つの物語
ウォルト・ホイットマン
ナサニエル・ホーソーン『緋文字』
ヘンドリック・ヴィットボーイの日記
イタロ・ズヴェーヴォ
フォード・マドックス・フォード『かくも悲しい話を…』
ローベルト・ヴァルザー『助手』
フワン・ラモン・ヒメーネス『プラテーロとわたし』
ブルーノ・シュルツ
ユダヤ人作家イレーヌ・ネミロフスキー
若き日のサミュエル・ベケット
パトリック・ホワイト『球形のマンダラ』
ソール・ベロウの初期小説
アントニオ・ディ・ベネデット『サマ』
V・S・ナイポール『ある放浪者の半生』
著者等紹介
クッツェー,J.M.[クッツェー,J.M.] [Coetzee,J.M.]
1940年、南アフリカのケープタウン生まれ。ケープタウン大学で文学と数学の学位を取得。65年に奨学金を得てテキサス大学オースティン校へ。ベケットの初期作品の文体研究で博士号取得。68年からニューヨーク州立大学で教壇に立つが、永住ヴィザがおりず、71年に南アフリカへ帰国。74年、最初の小説『ダスクランド』出版。以降、ケープタウン大学で教えながら小説・批評を次々と発表する。83年『マイケル・K』と99年『恥辱』で英国のブッカー賞を2回受けた。2002年、大学退職後、オーストラリアのアデレードに移住。03年、ノーベル文学賞受賞
田尻芳樹[タジリヨシキ]
1964年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。ロンドン大学で博士号取得。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻はイギリス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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