大人の本棚
ヴァルザーの詩と小品

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 254p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622080428
  • NDC分類 941
  • Cコード C1398

出版社内容情報

「ローベルト・ヴァルザーは散文によるパウル・クレーだ。クレー同様に繊細で神経質だ、彼はまた心やさしいベケットだ、さらにはカフカとクライストの間のミッシング・リンクだ。」(スーザン・ソンタグ)

20世紀文学において特異な位置を占めるスイスの作家ヴァルザーは、ベンヤミンが、ブランショが高く評価しながらも、再発見はカフカよりずっと遅れた。カフカの「天井桟敷で」のもとになった散文小品「喝采」をはじめ、兄カールの挿絵全点を収めた『詩篇』の全訳,やはりカールのおそろしく現代的な絵に付された小品などの初訳を含む、ベスト版一巻選集。

《大人の本棚》シリーズ



Robert Walser(R.ヴァルザー)
1878-1956。 スイスのドイツ語詩人・作家。邦訳作品に『白雪姫』(新本史斉訳、『現代スイス文学三人集』所収、行路社)「拍手喝采」「散歩」(丸山匠訳、『現代ドイツ現代小説』所収,白水社)『ヤーコプ・フォン・グンテン』(藤川芳朗訳、『世界文学全集74 カフカ ヴァルザー』所収、集英社)散文小品を多数収録した『ヴァルザーの小さな世界』(飯吉光夫編訳,筑摩叢書)など。


飯吉光夫(いいよし・みつお)編訳
1935年旧満州奉天生まれ。1959年東京大学独文科卒業。1962年同大学院修了。1973-1974年、ベルリン、パリに滞在。元東京都立大学教授。著書『パウル・ツェラン』(小澤書店)『傷ついた記憶』(筑摩書房)など。訳書 ツェラン『迫る光』(思潮社)『パウル・ツェラン詩集』(小澤書店)『ことばの格子』(書肆山田)『糸の太陽たち』(ビブロス)、ツェラン/ザックス『往復書簡』(ビブロス)『ギュンター・グラス詩集』(小澤書店)アンドレアス=フリードリヒ『舞台・ベルリン』(朝日新聞社)など。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たーぼー

48
平易で解り易い世界なのだが、それを己の内に取り込めるかは別。精神の暗闇に怯える者を、この世界の現実に喘ぐ者を、柔和と喜悦をもって奏でるヴァルザーの眼差しにもうやめてくれ、と言いたくなる。と同時に本当は構って欲しいんだろ?と図星を突かれているようで悔しい。仕事の出来ない男が思わぬ昇進に一目散に遁走する詩など、とても許容し難い。道を歩いている途中に首がもげてもなお、気付かない鈍感な男の詩を愛することは容易ではない。しかし、信じてみるとしようか。敗北も、栄誉も変わらぬ態度にて受け入れる詩人の度量というものを。2017/02/26

ぞしま

16
ローベルト・ヴァールザーはずっと気になっていた存在であったが、なかなか機会がなく、初読。みすず書房のハイライト集的な(?)本書から始める。 詩。「暁の明星」とか「木立ち」とか「ざわめき」とかにすごく惹かれる。朴訥な言葉、世界の美しさへの、斉一な、まなざし。だがどの詩にも傷が見え隠れするような、そんな味わい。 子品はどうだろうか。「音楽」、「ティーアガルテン」、「ヘルダーリン」など良い。 この人、長編を書くこと(必要?)あるのだろうか?と読中ずっと思っていただけに、未読の小説が楽しみになった。2018/12/11

おおた

13
偉大な繊細さ、非生産的な美しさ。全集も買いそろえなければいけないと決意させられる一冊でした。 https://www.uporeke.com/book/?p=39312020/03/14

ロビン

11
スイスのドイツ語詩人・作家であるローベルト・ヴァルザーの詩と、一篇2~3ページの小品を集めたもの。日常の何気ない事を、ヴァルザー独特の思想のプリズムを通してみることで非常に繊細な不思議な色彩の価値を生ぜしめているところに、かれの詩を感じさせられる。短い文章のなか、時には手垢のついた凡庸なイメージの小石もあるけれど、しかしとても創造的な小さなダイヤのような一行もぽんと現れる。一輪のやさしい野花の雄蕊や雌蕊より小さくなり、花のなかに入り込んで、その生成の神秘を体験したような感覚。繰り返し読みたい詩人だ。2023/03/31

兎乃

7
読了。以前ヴァルザーの「白雪姫」を読んだ。膨大な量の虚言が積み重ねられ、現実を言葉で表すのは不可能であるという証明を 言葉によってするという試み。混乱・支離滅裂・狂気、その果てに何があるのかというと何だか判らなかった私。だが、ジョアン・セザール・モンテイロ監督の真っ暗な画面を見ていると、判らない=言葉を失う、それでよかったのかもしれない、と思う。さて、本書は詩と小品。ベンヤミン・ブランショ、そしてスーザン・ソンタグが絶賛したヴァルザー。詩・挿絵、とても好き。小品もヴァルザーがプンプンと匂いたち、好きです。2012/07/13

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/76847
  • ご注意事項

最近チェックした商品