出版社内容情報
ビザンツ文明の都市が滅び、中世が終わりを告げた瞬間を、世界史の流れの中で鮮やかに再現する。
内容説明
1453年5月29日、ローマ帝位を連綿とうけついできた最後の皇帝コンスタンティノスは、コンスタンティノープルの街頭に戦死し、ビザンツ帝国はオスマン・トルコの軍門に降った。この出来事ほど、同時代の人びとにも、後世の人びとにも深い印象を与えた出来事は少ない。「征服王」スルタン・メフメトがかれの勝利の光景を見わたしたとき、東方はアレクサンドロス大王にたいする復讐をなしとげたかに見えた。キリスト教徒は帝国終焉の哀歌を聴くとき、心をうずかせた。それはまさに歴史の審判が逆転したかのような一瞬であった。本書は、歴史の決定的瞬間にいたる前史とそれ以後を、瀕死のビザンツ帝国と勃興するスルタン国家から、征服された人びとの運命にいたるまで描いている。
目次
第1章 瀕死の帝国
第2章 勃興するスルタン国家
第3章 皇帝とスルタン
第4章 西方の援助への代償
第5章 包囲の準備
第6章 包囲開始さる
第7章 金角湾の喪失
第8章 失なわれゆく希望
第9章 ビザンティウム最後の日々
第10章 コンスタンティノープル陥落す
第11章 征服された人々の運命
第12章 ヨーロッパと「征服王」
第13章 生き残った人々
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kuppy
2
力をつけてきたトルコ軍に対して、ビザンチン帝国の至宝コンスタンティノープル防衛に足並みが揃わないキリスト教国。当初は西側の城壁と武具の差により撃退していくが、北側から船団を陸送したり、兵站の分断により防衛隊、市民が疲弊していく。トルコ軍の巨大な大砲による城壁の破壊ではビザンチン軍の献身的な修復作業により持ちこたえていくが孤立無援、最後のビザンチン皇帝も戦場に散っていく。東ローマ帝国亡き後、ロシアがその地位を宣言していくのも興味深い。プーチンは皇帝・ツァーリ(カエサル)を標榜し帝国主義を進めている。2025/01/22