回復まで

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  • サイズ B6判/ページ数 304p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622048640
  • NDC分類 935
  • Cコード C0098

出版社内容情報

66歳の1年間(1978-79)は、サートンにはつらい年だった。パートナーとの別離、小説『総決算の時』への悪意ある酷評、乳がんの手術、ふっきれない鬱状態。しかし、「惜しみなく与える」友人たちがいて、小さな命にみちた静謐な自然があり、読書と、そして愛読者たちの手紙に支えられて、彼女は「あるがままの自分」を受け入れることを学ぶ。そして孤独を深めながら、ゆっくりと回復していく。

『独り居の日記』『海辺の家』につづくこの3冊目の日記は、著者みずからが生前、邦訳を希望した一冊だ。

May Sarton(メイ・サートン)
1912年ベルギーに生まれる。4歳のとき父母とともにアメリカに亡命、マサチューセッツ州ケンブリッジで成人する。一時劇団を主宰するが、最初の詩集(1938)の出版以降、著述に専念。小説家・詩人であり、日記、自伝的作品も多い。1995年歿。著書『独り居の日記』(1991)、『ミセス・スティーヴンズは人魚の歌を聞く』(1993)、『今かくあれども』(1995)、『夢見つつ深く植えよ』(1996)、『猫の紳士の物語』(1996)、『私は不死鳥を見た』(1998)、『総決算のとき』(1998)、『海辺の家』(1999)、『一日一日が旅だから』(2001、いずれもみすず書房)、 At Eighty Two: A Journal (1996)ほか。

中村輝子(なかむら・てるこ)訳
北海道に生まれる。東京大学社会学科卒業後、1962年共同通信社入社。文化部記者、編集委員、論説委員を経て、98年退社。現在 立正大学客員教授、ジャーナリスト。著書『女たちの肖像』(1986)。編著『生の時・死の時』(1977)。訳書 フィッツジェラルド『改訂版アメリカ』(1981)、 ハーストンほか『語りつぐ』(共訳、1987)、 ボニントン『現代の冒険』(共訳、1987)、シンプソン『死のクレパス』(1991)、ヘッド『力の問題』(1993)、ベル『人種主義の深い淵』(1995)、ハーストン『騾馬とひと』(1997)、ヘメンウェイ『ゾラ・ニール・ハーストン伝』(1997)ほか。

内容説明

66歳の1年間(1978‐79)は、サートンにはつらい年だった。パートナーとの別離、小説『総決算の時』への悪意ある酷評、乳がんの手術、ふっきれない鬱状態。しかし、「惜しみなく与える」友人たちがいて、小さな命にみちた静謐な自然があり、読書と、愛読者たちの手紙に支えられて、彼女は「あるがままの自分」を受け入れることを学ぶ。そして孤独を深めながら、ゆっくりと回復していく。『独り居の日記』『海辺の家』につづくこの3冊目の日記は、著者みずからが生前、邦訳を希望した一冊だ。

著者等紹介

サートン,メイ[サートン,メイ][Sarton,May]
1912‐1995。ベルギーに生まれる。4歳のとき父母とともにアメリカに亡命、マサチューセッツ州ケンブリッジで成人する。一時劇団を主宰するが、最初の詩集(1938)の出版以降、著述に専念。小説家・詩人であり、日記、自伝的作品も多い

中村輝子[ナカムラテルコ]
北海道に生まれる。東京大学社会学科卒業後、1962年共同通信社入社。文化部記者、編集委員、論説委員を経て、98年退社。現在、立正大学客員教授、ジャーナリスト
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

miyu

34
「海辺の家」に続く日記。66歳一年に渡る日々を綴る。recoveringというタイトルそのままの再生の記録だ。恋人ジュディの耄碌は進みサートンを認識できずに夢の中を彷徨う。自信作のはずの小説「総決算の時」は悪意と誤解に満ちた酷評を受ける。極めつけは自身の乳がんによる乳房全摘手術。これでもかというくらいに襲う嵐に彼女は時に苛立ち、時に淡々と冷静に自分自身を見つめ直す。激しい感情を抑えながら最後に至るその境地。世代も生きた時代も違う私の心を捉えて離そうとはしない。歳を加えるごとに新たな気持ちで読みたい作品だ。2017/01/15

ののまる

12
サートンの66〜67歳までの日記。前作『海辺にて』と変わり、小説への言われ無き悪批評、長年の恋人であったジュディスの耄碌が進み、自身も乳がんで全摘出手術を受け、才能や製作意欲の減退などの気鬱に囚われている時期。人々の友情や、相変わらず厳しい内省によって、そこから徐々に「回復」していく記録。しかし、サートンはなかなかに癇癪持ちというか、感情の激しい人だというのが、ずっと意外。2015/09/28

Maki

3
しみじみ良かった。山田太一さんが選ぶ10冊で第1位だった本。アメリカの女性作家のジャーナル。的外れの批評、愛した女性を耄碌(今でいう認知症?)で失う悲しみ、自らの老いと孤独、作家としての葛藤。彼女の住まうメイン州の自然の素晴らしい描写。一言一言がとっても胸に響く。翻訳もいいんだろうな。いつか原文でも作品を読んでみたい。昔から老賢女のアーキタイプに弱い私。サートンの詩の朗読の声を聞いたら、大好きなMary Oliverとそっくりで震えが来た。憧れ。2016/02/13

ndj.

3
「66歳の1年間(1978-1979)はサートンにはつらい年だった」と背表紙にはある。けれどなんと豊かで力強い日々なのだろう、海の見える書斎、四季折々の花が溢れる庭、訪れるたくさんの人々…。孤独であることと、他者に心を閉ざすこととはまるで違う。人を大切にする、ということがどういうことであるのかを考えさせられる一冊だった。2015/09/15

maaaaay22

0
休職しはじめたころから「今や」と思い6ヶ月かけて読んだ。素晴らしくてすぐには言葉にならないぐらい、多くのことを受け取った。心の中がほかほかふわふわの苔みたい。このように言葉を信条を葛藤を織りなしてくれたサートンさんの存在はこの世への恵みと思った。きっと今も天国でペンを取っているんやろうな。付箋が多すぎて選べないけど、彼女は他人に真心を与えすぎることで疲れ果てていたということ、混沌状態をたえず整え直すことがまさに生きるということ、何もしないことで起きるひらめきーーが特に腑に落ちた。2024/08/14

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