出版社内容情報
一方にパラダイム理論やフーコー思想批判、アーレント論、他方にアメリカ批判を通し現代を省察。
内容説明
ウォリンは、現代アメリカの政治理論家の代表的存在であり、また80年代アメリカ政治社会へのもっともラディカルな批評家として知られている。本書は、彼がその学問のすべてを賭けて現代に立ち向かった本である。ヴェトナム戦争、ウォーターゲートなど一連の出来事を経た今日のアメリカ国民は、テクノクラートと経済界主導下の国家権力の強化を望み、アメリカン・デモクラシーは頼りなく色褪せたかにみえる。この基本的な変質?は、政治批判、社会批判など思想レベルでどう説明されているか。あるいはこの現実は、政治理論にどう反映しているか。ウォリンはこのテーマを、まずプラトン、マキアヴェリ、ホッブズから現代のシステム理論にいたる、西洋政治思想史の問題として論じ、つぎに、クーンのパラダイム理論、ウェーバー論、フーコー思想の批判、アーレント論を通じて問題の核心にせまり、具体的な現代アメリカのイデオロギー批判にまで及ぶ。本書は、人間にとって政治とは何か、社会におけるよりよき善とは何かを考える人びとに大きな刺激となろう。
目次
政治理論の史的展開
パラダイムと政治理論
職業としての政治理論
マックス・ウェーバー―正統化・方法・理論の政治
ハンナ・アーレントと時間の定め
フーコーにおける理論と実践
アメリカにおける国家の観念