出版社内容情報
マイモニデス、スピノザを経て20世紀まで―異邦思想を吸収し、変容を重ねたユダヤ哲学の歩み。
内容説明
イェフダ・ハレヴィー、マイモニデス、ゲルソニデス、スピノザ、メンデルスゾーン、クロホマル、コーエン、ローゼンツヴァイク…聖書時代から20世紀までを通覧する、ユダヤ哲学の基本文献。
目次
第1部 基礎と最初の影響(聖書の宗教の根本思想;ヘレニズム期のユダヤ哲学;タルムードのユダヤ教における宗教的観念)
第2部 中世におけるユダヤ宗教哲学(イスラム世界でのユダヤ哲学の台頭;カラーム;新プラトン主義;アリストテレス主義とその反対者たち;中世宗教哲学の終焉とその余波)
第3部 近代におけるユダヤ宗教哲学(モーゼス・メンデルスゾーン;ユダヤ宗教哲学におけるカント以降の観念論;19世紀末におけるユダヤ宗教哲学の刷新)
感想・レビュー
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syaori
60
聖書時代から20世紀まで、ユダヤ哲学の進展を主要な哲学者の教説と共に追ってゆく本。離散(ディアスポラ)という民族の苦難を「根本的な経験」として発展したユダヤ哲学は、中世にはイスラムから新プラトン主義などを受容し、近代ではドイツの啓蒙主義や観念論に即した思想を展開するというように異邦の思想を吸収し深化してきたことが分かります。 作者はその、イスラム教やキリスト教との対立・影響や実存主義との関係など古代から近代までの思想の主潮流の中でユダヤ固有の思考の方位を浮び上がらせていて、大著というに相応しい一冊でした。2021/07/27