全体主義の起原 〈3〉 全体主義

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  • サイズ A5判/ページ数 327,/高さ 21cm
  • 商品コード 9784622020202
  • NDC分類 311.8

出版社内容情報

虚構とテロルによる全体的支配の二つの歴史的典型、ナチズムとボルシェヴィズムの本質に迫る。1974年初版



Hannah Arendt (ハンナ・アーレント)
1906年、ドイツのハノーファー近郊リンデンでユダヤ系の家庭に生まれる。マールブルク大学でハイデガーとブルトマンに、ハイデルベルク大学でヤスパースに、フライブルク大学でフッサールに学ぶ。1928年、ヤスパースのもとで「アウグスティヌスにおける愛の概念」によって学位取得。ナチス政権成立後(1933年)パリに亡命し、亡命ユダヤ人救出活動に従事する。1941年、アメリカに亡命。1951年、市民権取得。その後、バークレー、シカゴ、プリンストン、コロンビア各大学の客員教授を務め、1967年、ニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチの哲学教授に任命される。1975年ニューヨークで急逝。著書 『全体主義の起原』1-3 (1951, みすず書房 1972年、1972年、1974年) 『人間の条件』(1958年、筑摩書房 1994年)、『イェルサレムのアイヒマン』(1963年、みすず書房 1969年)、『過去と未来の間』(1954年 1968年 みすず書房 1994年)、『ラーエル・ファルンファーゲン』(1959年、みすず書房、1999年)他。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

魚京童!

25
1人殺せば殺人者、10万人殺せば英雄、絶滅させれば全体主義者。1人ならその国の法に則って処罰され、10万人でも戦争だからしょうがない。絶滅させるとどうしようもないよね。困惑するしかない。法の範囲にない、周りは私を知らない、アイデンティティを持ってない。すると簡単に人間は生きる屍になる。周囲との関係で自分を規定できるけど、今は都で独りで生きてる。生きていく。そう考えると新しい何かが拓けている気がする。こんなに無自覚に、安全に、のほほんと独り暮らしができる平和な世の中になってしまった。2019/01/14

きいち

20
冷静なのに緊迫した当事者意識が貫かれた大著。なので、全体主義の運動が身の回りで起こったとき自分はどうなるのか、惹かれるのか、地味な抵抗を試みるのか、身に引き寄せて読める。◇一番ヤバいと思ったのは「事実の軽視」、ファンタジーの優先。孤立した人が参ってしまう分かりやすさ、決断。今週刊誌の中吊りに溢れてる言葉たちやん、と。確かに、全体的支配が成立する条件が完全に満たされることはないかもしれない、でもこの図式は、学校はじめ無縁のものとは思えない。僕らの中にある全体主義志向を発動させないために、出来る限りのことを。2013/10/19

白義

14
それまで社会を形作っていた階層や政治的立場から切り離され、根なし草の自己喪失者となった大衆に、虚構の力で再び世界観を与え、終わりなき破壊の運動に巻き込むこと、それが全体主義の正体であり、それは今までのありとあらゆる政治体制から原理的に異なるものだという。ファンタジーの力を利用する全体主義がいかに旧来の世界と人間の条件を破壊し、権力を維持していくかが、その世界観と社会学的側面両方の精緻な分析からえぐり出されている。全体主義の起原三冊のなかでは一番読みやすく、時代も近いので納得しやすい2013/03/08

chanvesa

13
組織された「Verlassenheit(見捨てられる状態)」ときわどい関係の孤独(297~298頁)は「連帯」という安易な手段では断ち切れないのではないか。藤田省三氏『全体主義の時代経験』の「生活の全体主義」は、ヒットラーやスターリンがいなくてもうごめいている。「予見不可能な行動の排除」(278頁)と疑似科学的性格(284頁)は、人間の思考をストップさせる(○×式判断の材料提供)。「パヴロフの犬は普通の動物ではなく、本性をねじまげられた」(231頁)ように、消費と広告というエサとベルは機能していると思う。2014/08/24

はる

11
トータルな支配の構成要素と起源と訳せばよいのだろうか?全体主義、その統治構造、支配、権力者たち、それに巻き込まれた無辜の大衆らが現象させた政治形態は歴史的に一時的だったと理解される王制や専制、帝国主義支配とは異なる新たな運動としての政治形態。その支配の本質は「有害、生きる資格のないものを排除する」「死滅する階級」を不断に作り出そうとする運動である。ナチズムもスターリニズムもその源は進化論と階級闘争という19世紀以降の科学的主観から発している。2022/12/19

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