出版社内容情報
100年以上前、カマリング・オネスによる電気抵抗の消失が発見され、超伝導の基礎理論といわれるBCS理論が提出されてから既に70年近くが経過している。1980年代後半に入って銅酸化物系の高温超伝導物質が発見され、その超伝導現象の研究が始まって以後、超伝導の物理では様々な新分野が開拓され続けている。
本書では、電子状態の解説が中心となる従来の超伝導の専門書とは一線を画し、相転移や揺らぎをキーワードとした超伝導の解説を行う。高温超伝導(HTSC)で見出された磁場下の現象が、HTSCに固有のものではないことを明確にするため、物質に関する具体的な記述はむしろ避けて、従来からの超伝導の教科書とのつながりで読まれることを意識して、超伝導理論の基礎を中心に解説する。さらに専門書の多くは固体電子論の解説の延長として書かれているものが多いため、本書は対照的に統計力学的な側面からの超伝導理論の解説書となっている。
内容説明
本書は、従来の平均場近似の超伝導理論の基礎を踏まえて、相転移とそれに伴う臨界揺らぎに関わる題材を、殊に磁場下の超伝導に焦点を当てて解説した専門書である。現実の物質で起こる磁場下の超伝導現象が物質固有のものか否かを判別できるよう、固体物理に立脚した記述はむしろ避け、超流動とのつながりを強調する形で書かれているので、読者として超伝導分野の研究者、大学院生、学部4年生のみならず、様々な分野の理論研究者にも薦められる好著である。
目次
第1章 序論
第2章 ボース粒子系の超流動
第3章 超伝導のBCS理論
第4章 磁場下の超伝導―平均場近似
第5章 ゼロ磁場下の超伝導揺らぎ
第6章 磁場下の超伝導―クリーン極限
第7章 磁場下の超伝導―乱れの効果
付録
著者等紹介
池田隆介[イケダリュウスケ]
京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻准教授。理学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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