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内容説明
社会における習慣、ルール、貨幣、結婚といった「制度」はなぜ「存在」するのか。経済学、社会学、人類学等の社会科学が独自に分析してきた「制度」という問題を、ゲーム理論、分析哲学といったツールを駆使して、共通の土台を作ることを目指した気鋭の科学哲学者による野心的な試み。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
すずき
3
訳が読みやすい。目次に要約があって構成が分かりやすく、訳者解説が丁寧なのもよい。制度は、「コーディネーション問題の相関均衡であるルール」であるという機能によって定義される種(しかも、これは人間の認知の仕方に依存しないような頑健な仕方で実在する種)というのがコアの主張で、ルール説と均衡説のいいとこ取りをしている。前半は特にわかりやすく説得的に感じた。後半の実在周辺の話はちょっと追うのが大変だったが、最後の結婚制度に関して規範アプローチではなく純粋記述的に制度の変革を説明できるという議論は面白かった。2021/03/30
odmy
1
制度とは何かは社会科学者と哲学者のあいだで意見が噛み合ってなかったのだけど、両者を統合して「均衡したルール」として制度を位置付けた本。この結論自体は最初の100ページくらいで出てくる。しかしその後、哲学者の考える制度論が間違っているということを論証するのにページが割かれ、議論はどんどん難解になっていく。個人的には、制度が均衡したルールだとすると、倫理ってどういう位置付けになるのだろうと思った。倫理もただの均衡であって、均衡が変われば倫理も変わるということかな。ずいぶん冷淡な世界観のようにも思うけど。2024/04/09