内容説明
人間の「心(インテリジェンス)」は知(知的機能)・情(情動)・意(意欲)という三つの認知機能から成り立っているが、このインテリジェンスについては、ここ半世紀まで、家庭や社会環境によってかなりの部分が決定されると考えられてきた。ところが、近年のゲノム研究の飛躍的進歩に伴い、機能に異常を起こす「単一遺伝子変異(多型)」が次々と発見され、個人差(個人のインテリジェンス)は単に「遺伝子変異」に依存することもあることが明らかにされてきた。本書ではこの分野で世界をリードする筆者が、最新の成果を盛り込みながら、遺伝子とインテリジェンスの関係を具体的に興味深く解説する。
目次
第1章 IQの遺伝に関わる諸問題
第2章 知能は尿酸値で決まる?
第3章 情動に関する遺伝的素因
第4章 意欲をつかさどる遺伝子
第5章 精神遅滞と遺伝子変異
第6章 身体機能と遺伝子
第7章 アルコール耐性と遺伝子変異
第8章 記憶力は遺伝するか?
著者等紹介
石浦章一[イシウラショウイチ]
東京大学大学院総合文化研究科(教養学部生命・認知科学科)教授。1950年石川県生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒。同大学理学系大学院修了。理学博士。国立精神・神経センター神経研究所、東京大学分子細胞生物学研究所を経て現職。専門は分子生物学。現在は精神機能に関係する遺伝子の研究を中心に行っている
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