内容説明
ウクライナ戦争、気候変動という地球規模の危機、国内では安倍元首相銃撃事件を経て、台湾有事を煽りながらの軍事偏重社会への転換など、戦後世界が築き上げた平和への意志が大きく揺らぐ時代が到来した。この潮流は破局へと向かうのか。いま私たちは何を思索すべきなのか。時評というスタイルで歪んだ時代精神を撃ち抜きながら、理想的でリアルな、別のヴィジョンを提示する。
目次
1(オリンピック開催国は難民という存在に想像力を;ウイグルにおける人権弾圧 市場優先の対応でいいのか ほか)
2(学校と霞が関にメスを!真の教育改革、働き方改革へ;「分配」政策のまやかし 変化を恐れぬ新たな生き方へ ほか)
3(プーチンの妄執と戦争のできない欧米;SNS時代の反戦運動 ロシアとNATOの話し合いを ほか)
4(戦後77年 日本人の身体から失われた戦争のリアル;核を持たないことこそ最もラディカルな現実論 ほか)
5(人権に関して、これ以上の厚顔無恥は許されない;五輪ビジネスモデル 私たちも共犯の「亡国」 ほか)
著者等紹介
〓村薫[タカムラカオル]
1953年大阪市生まれ。作家。1993年『マークスの山』で直木賞、1998年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞、2016年『土の記』で野間文芸賞・大佛次郎賞・毎日芸術賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
189
高村 薫は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者が時事問題をぶった斬る硬派なエッセイでした。エッフェル塔の前でポーズを取るろくでもない女性国会議員はクビにして、著者を国家議員に任命して欲しいと思います。 https://mainichibooks.com/books/essay/post-631.html2023/08/09
いつでも母さん
137
厳しい!そう感じる私に「喝ッ!」だ。高村薫さんは怒っている。正しく真っ当な指摘に胸をすく思いで読んだ。サンデー毎日の『サンデー時評』掲載を一挙に、いや、毎日少しずつ腹に納めた次第。読み友さんが仰っている『ぶった斬る』そんな爽快さもあった。そして、この国の先が不安でならない。私はその国民なのだ・・2023/08/14
KAZOO
106
高村さんの最新の時評集です。やっと追いつきました。21年6月から23年6月までの2年間のことが結構いつもながら歯に衣を着せない感じで書かれています。内容や風貌(男女の違いはありますが)までが以前結構読んでいた佐高信さんに似て気ているような感じがします。ありとあらゆる世界や日本の分野での論評には頭が下がります。年寄りにはありがたく字が大きく評論も比較的短めで助かります。2024/01/16
ケンイチミズバ
88
今起きてる戦争の当事国に対して停戦を呼び掛けるだけのリーダーシップは日本にはありません。高村氏の正論は耳が痛いほどではありますが、戦争の苦い教訓はあってもアメリカの背中にいる国です。先端技術や経済で先進国の仲間入りを果たしましたが、今は中国に抜かれ見る影もありません。先日のG7もウクライナ支援の結束を再確認しただけで米国の先を越した役割など独断できようはずもありません。競争入札とは言いながらオリンピックもコロナ支援事業も電通が仕切ることになっているようです。こういうのもこの国が旧態依然である由縁でしょう。2023/08/14
さぜん
58
21年6月から23年6月までの「サンデー毎日」に連載された時評。コロナ禍でのオリンピック開催も随分前に感じるが、ウクライナでに戦闘は続いているし、新たな戦争も始まっている。政府の政策も滑りっぱなしで、私達の生活は良くなっているのか?2年前の問題が何ら解決せず今に至って、もはや国民は鈍化し思考を止めてしまったかのよう。高村氏の怒り、必死に書き綴るこの時評がもっと多くの国民に届くべきだ。そして私達はこの国の体たらくに絶望したとしても、諦めることなく思索し続けなくてはならない。2023/11/16
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