内容説明
幾多の甚大な自然災害を経験したわれわれは、都市に城壁を必要としなかった世界唯一の民でもある。悠久の歴史を踏まえ、国土学の先駆者が未曾有の経済危機の今、「日本人が進むべき道」を新たに示す。
目次
第1部 国土学再考(「公共」の発見;都市と建築;オリンピック開催と東京;東京への一極集中 ほか)
第2部 国土と日本人の思考(紛争死史観;死にまとわる理由と恨み;負けないための準備(隙間のない厳格な想定)
自然災害史観 ほか)
著者等紹介
大石久和[オオイシヒサカズ]
昭和20年生まれ。兵庫県出身。昭和45年、京都大学大学院工学研究科修士課程修了。同年、建設省入省。平成5年、国土庁計画・調整局総合交通課長。平成7年、建設省道路局道路環境課長。平成8年、建設省大臣官房技術審議官。平成11年、建設省道路局長。平成14年、国土交通省技監。平成16年、財団法人国土技術研究センター理事長。同年、早稲田大学大学院公共経営研究科客員教授。平成17年、東京大学大学院情報学環特任教授。平成20年、京都大学大学院経営管理研究部客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かず
4
著者は、国交省技監を務められた元土木官僚である。国土学を提唱され、国土の成り立ちから日本人の国民性を検証されている。冒頭、フランス、中国の城塞都市の紹介から入り、文化比較による日本人論を展開される。本書の論法に同感である。私も思索する中で、著者と同じ日本人観を持っていたが、さらに掘り下げることができた。ただし、こういうことを考えている人は少ない。また、大変な不利益を被るため、そう思っても、誰も変革の為に行動しない。よって、何も変わらない。従って、良著ではあるが、社会に即益をなす図書とはいいがたい。(→)2015/07/14
ゆずゆ
0
今まで意識したことのないその国土に住むからでこその性格に納得しました。今後は国際的に、という風に書かれていたのですが、日本人はまず日本を知ることが大事だと思います。正しい近代史を知る事が重要です。自分の国を知った後で国際的な視野を持つのが大事に思います。他国の公共性の高さなどは素晴らしく思いますが、別に日本が同じことをしないといけないというわけではなく、日本は日本独自を歩めばいいとも感じました。もちろん、良い部分は取り入れるべきです。この本はそういう意識の切欠になるとも思います2010/05/17
RYU
0
みんなが必要とするものをみんなが建設することが公共の発見である。ヨーロッパの城壁は”公共”の施設であり、それを維持していくのも公共。公共・都市・国土・・いろいろと考えさせられる。日本において公共心は生まれにくいのかもしれない。2009/11/07
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