内容説明
なぜ、どのようにA級戦犯を秘密裏に合祀したのか。記者が「まるでその場にいたかのようだ」と靖国神社関係者を驚かせた徹底取材で抉りだすA級戦犯合祀の真相。新事実で伝える「靖国問題」の決定版。
目次
二〇〇六年騒々しい夏
第1部 A級戦犯を合祀した宮司(皇国護持の三代目;宮司選出の舞台裏;改革の遺産と誤算)
第2部 A級戦犯を合祀しなかった宮司(白い共産主義者;世界平和を目指した靖国)
第3部 戦後の慰霊の行方(揺らいだ合祀基準;千鳥ヶ淵の攻防;「戦後」からどこへ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
勝浩1958
7
靖国神社で会うことを誓って死んでいった天皇の赤子が祀られている靖国神社に、A級戦犯が合祀されてからは昭和天皇は一度も参拝されなかった。遺族の方々はさぞ悔しい想いをされたことでしょう。戦犯の分祀もできないとなれば、今後天皇の参拝もないことになるのでしょう。また、国家が靖国神社を管理することも、憲法に定める政教分離規定に抵触するため法案は廃案になっています。このような様々な問題を生むことになったA級戦犯の合祀を敢行したのが、松平春嶽の直系の孫である松平永芳であったのです。2015/09/19
ルアット
4
靖国神社にA級戦犯を合祀した靖国神社宮司の松平永芳。地元の福井にもゆかりのある人だったので、興味はあったが、彼に対してもA級戦犯と同様に考えていた。なぜそんなことをしたのか。理由を知るのにちょうどいい本を見つけたので読んでみた。政治と宗教の間であいまいなスタンスのまま今日まできてしまったために、いろいろな矛盾をかかえたままの靖国問題は、もう解決するときはないのだろうな。2016/06/28
樋口佳之
2
確信犯の松平宮司について知りたくて読みましたが、むしろ「白い共産主義者」を自称した筑波宮司の話に驚きました。合祀と言うデッドロック化した現状とは違う道も有り得たのだと思いました。2016/01/29