出版社内容情報
疎開先が一緒だった縁で義姉妹になった、主婦の左織と料理家の風美子。
人生が思い通りに進まないのはこの女のせい?
著者が挑む、戦後昭和を生き抜いた女たちの物語。
内容説明
あの日、思い描いた未来を生きていますか?豊かさに向かう時代、辛い過去を葬ったまま、少女たちは幸福になったのだろうか―。激動の戦後を生き抜いたすべての日本人に贈る感動大作!
著者等紹介
角田光代[カクタミツヨ]
1967年、神奈川県生まれ。90年「幸福の遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、97年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で直木賞、06年「ロック母」で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、11年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞、12年『紙の月』で柴田錬三郎賞、『かなたの子』で泉鏡花文学賞、13年『私のなかの彼女』で河合隼雄物語賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
馨
421
左織という1人の女性の1つの人生を一緒に生きたような思いです。戦中疎開先で出会った記憶もないような風美子と戦後再会し、義理の姉妹となり晩年まで関わっていき、途中で風美子のふるまいに疑惑も持ちながらも風美子の存在の大きさを知る。全体的に抑揚のないストーリーで暗い。私もどちらかと言えば左織みたいな不器用で内向的な性格なので風美子みたいに器用に強く外交的に生きられる人を見ると羨ましくなります。ストーリーの主旨とは違うけど、母親を大事にしようと思いました。2015/02/13
風眠
247
戦争を生き抜き、豊かさに向かう時代を生きた女の半生。子どもの頃、疎開先での辛かった数々の事を忘れられず40年以上。今、想い描いていたような幸せな人生を生きているのかと問われると、そうはなっていない。「疎開先であの子をいじめたから?」と、初老にさしかかった女は思う。自分には今、天罰が下っているのだと。個人的には、母と娘の確執についての記述、母親目線に立った部分が気になった。娘を愛するよりも先に「産むという義務」を果たしたという安堵、からの女の心の動きが。本筋とは離れるが、ここに角田さんのカタルシスを感じた。2015/02/14
ナイスネイチャ
240
図書館本。戦前から現在までの学童疎開出身の二人の女性の半生。主人公は左織という女性だが常に風美子の憧れ、嫉妬が入り混じって話は進んで行く。色々邪推な結末を考えましたが、最後まで読者に問い掛けるような内容でした。2015/08/24
hiro
233
戦争中、親元を離れた疎開先で知り合い、後に再会し義理の姉妹となった、対照的な左織と風美子の戦中から平成の時代までの半生を描いた400ページを超える大作。風美子と再会したことにより、疎開先でのいじめの記憶に縛られ続け、さらに実生活において思うような家族関係を築けない主婦の左織、一方、戦争で家族を失ったが、変わった戦後の時代を自由に新しいことにチャレンジし、社会に進出していく風美子、その二人を左織が語り手となり淡々とした文章によって描くことにより、この二人の対比、そして生活が鮮明に感じることができた。2014/10/05
barabara
194
一貫して冗長すぎる。女の一代記としても、事実を羅列し最後はいつも敵わない義妹への悶々とした思いが渦巻くのみ。だからどうした?という思いでこっちは一杯。当の義妹がなんの悪気もなく純な人だから、余計さーちゃんが何とも面倒臭く歪んだ人格として書かれて終わるのが勿体無いし拍子抜け。!大して夫らは重要な役割もなく、さーちゃんの独白を延々と聞かされただけって感じかな…これだけ長いと「だから何なんだっ!?」と言いたくなってしまった読後だった。→続42014/10/08
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