内容説明
日本語と日本手話は全く違う言語です!日本語対応手話じゃだめな理由!ろうの子どもたちに日本手話での教育を保障して!ユーモアと、時には怒りをこめてNHK手話ニュースのキャスターにして、「ろう文化宣言」の中心人物、木村晴美さんが語りかけます。
目次
1 日本手話―ろう者の言語(察する文化と言語化する文化;手話に対する敬意の態度 ほか)
2 日本手話と日本語対応手話、日本語―まったく異なる言語(深い谷―日本語対応手話と日本手話;聴者は声を付けて手話を話すべき? ほか)
3 ろう者の文化、聴者の文化―異文化を生きる(ろう文化や知識を共有しない人たちに話すということ;聴文化では、時間のことはあまり言わない? ほか)
4 放っておけない―聴者の誤解・偏見・おせっかい(類人猿は手話を話せるという報道について;耳が不自由な、聞こえない人の文化… ほか)
5 ろうの子どもたちと日本手話―バイリンガル・バイカルチュラルろう教育をめざして(第二回バイリンガル・バイカルチュラルろう教育研究大会;共生社会に関する調査会 ほか)
著者等紹介
木村晴美[キムラハルミ]
山口県生まれ。ろうの両親から生まれ育ったろう者。一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了。国立身体障害者リハビリテーションセンター学院手話通訳学科教官(1991年~)。NHK手話ニュース845の手話キャスターとして出演中(1995年~)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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夜長月🌙
71
これまで聴覚障がい者をひとくくりにして考えてしまっていましたがそれは日本人やアメリカ人やフランス人を言語や文化の違いも考慮せずに接しているようなものです。日本語対応手話を用いず日本手話を用いるろう者は日本語を手話で表しているのではなく違う言語を母語としています。従って自然と思考や態度も異なるものになっています。その辺の理解が日本ではまったく広まっていません。例えば腕を組む姿勢はえらそうに見えるなどと感じたりしますがろう者にとっては手話が使えない状態であり熱心に傾聴する姿となります。2021/09/11
Nazolove
17
もはや書店においてもいないであろう本であったため購入。 多言語を勉強する前にまずその言語を使っている文化を学ばなければいけない、という考え方には驚いた。 多言語をただ勉強するよりもこういったところが我々と考え方が違う、通訳もただ変えるだけでなくこういった文化を学ばないとずれが生じる、というところは現在手話通訳を学んでいる身としては改めて気を付けなければいけないところだなと思った。 ところどころであ、これ著者が話してたなー、なんていうところもあったので私も著者ファンの一人だななんて思った。2021/12/30
紫草
8
「ろう文化宣言」の木村晴美さんのメルマガ本にまとめたもの。日本手話やろう文化への聴者の無理解に対するいらだちやもどかしさをすごく感じる。手話を勉強している聴者や手話通訳者でも、「ろう文化」というものへの理解がない人も多いらしく、また聴こえない人の中でもどうやら意見が分かれているようなので、根が深い難しい問題と感じます。「デフ・ヴォイス」の中で主人公がろう者に「あなたの手話はわかりやすい」と喜ばれる場面がありますが、それがどういうことだったのかが、ちょっとわかってきました。2021/02/05
蓮
8
『デフ・ヴォイス』を読んで、自分のあまりの無知に読んでみた本。読みやすかったです。手話は補助的なツールと思っていましたが、語順も日本語と違えば、言葉に対する考え方そのものにも深く関係していて、やはり言語なのだと思いました。ただ、筆者がややかたくなかな?と感じる部分もあり。2015/06/16
みっふぃー
6
14年前の本なのに、最近の本だと思うくらい、声をあげても何もかわってないんだなーと思った。ドラマ、オレンジデイズの主役は4年前に聞こえなくなった中途失聴なのに、中途失聴者が使う日本語対応手話じゃなくて、ろう者が話す日本手話だったらしい。そりゃ違和感たっぷりだろうなー。2021/04/07