内容説明
ある日、羊飼いに拾われてブラックシープ農場で暮らすことになった野良猫のボデイシャス。やがて立派な“羊飼い猫”になったボデイシャスが、ご主人の羊飼い、そして動物の仲間たちとの四季折々の日々を綴った猫自伝。
目次
第1部 春(卵係と春の花々;太陽と恵みの雨;馬、馬、もっと馬)
第2部 夏(干草の熱い六月;夏の訪問者たち;怠惰な日々と家族の集まり)
第3部 秋(サバ雲;秋の思い出;ツバメの旅立ち)
第4部 冬(初冬の冷え込み;ブラックシープ農場のクリスマス;ウィルスの脅威;泥まみれの一ヶ月)
著者等紹介
クランプトン,スザンナ[クランプトン,スザンナ] [Crampton,Suzanna]
アメリカで生まれ育ち、夏のあいだは祖父母のいるアイルランドのキルケニーでよく過ごした。バーモント州にある農業大学で環境科学を学び、東南アジアで自然保護活動に携わるなどさまざまな職についたのち、キルケニーに戻って一族の農場を継ぐことに。ズワルトブレス羊やアルパカ、馬、鶏、犬、猫たちと暮らす
宮崎真紀[ミヤザキマキ]
英米文学・スペイン文学翻訳家。東京外国語大学スペイン語学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ままこ
84
主役は牧羊犬ならぬ牧羊猫。その名はボディシャス。猫らしく賢い彼の視点で、厳しくも美しい自然豊かなアイルランドにあるブラックシープ農場での四季折々の暮らしの様子や羊飼いさんの生き方がドキュメンタリータッチで生き生きと描かれている。最初の数ページにある羊飼いさんや個性あふれる仲間の動物達との写真がとっても素敵。執筆中のボディシャスの表情が文豪(笑)情景がスッと浮かびあがる瑞々しい文章で翻訳も読みやすかった。巻末の「羊飼い、語る」は深い愛情が感じられ胸にジンと沁みた。2020/10/04
ケディーボーイ
40
アイルランドの羊農場の生活を猫が語るという方法で描写。 農場主である羊飼いさんは女性で、人生経験豊富。 かっこいい。 ただその豊富過ぎるエピソードがそこかしこに挟まれるため一つ一つの印象が薄くなる。 あれ?今、結局何の話だっけとなることが多々あった。 羊飼いさんとおばあちゃんとの別れの話が印象的。 あとはなにより本書のラスト。日々の生活を記して終わるだけだと思ってたので辛かった。 ボディシャス可愛いけど自分は物語以外で動物を擬人化するのが苦手みたい。 映画「僕のワンダフルライフ」を観た時もそう感じた。2023/02/20
たまきら
32
飼い猫の目を通して語られる羊飼いさんの日常です。世界中どこにでもある風景だけれど、アイルランドならではの出来事もあって、おだやかに読み進めているうちに最後に。そこはもう猫の主観ではなく、悲しかった…。飼っている動物の安楽死は欧米ではよくあることだけれど、なぜか自分には抵抗があります。それも手術中に飼い主に会うこともなく…。子猫がトライアルに旅立ち、ようやく穏やかに眠るうちの13歳男子をなでながら、その場に立ち会うまで悩むことなんだろうな…とため息をつきました。2021/06/26
宇宙猫
21
★★★★★ アイルランドの牧場の1年を 牧羊猫のボデイシャスが語る。ボスとして他の猫や犬をまとめる苦労、羊飼いさんと供に働く遣り甲斐、時に彼女に甘えられる喜びなどを 男の子が自慢げに話すような可愛い文章が好き。ブラックシープ農場の暮らしは「古き良き」と言われる素敵なものだが、季節ごとの仕事は 待ったなしで大変なことが良く分かる。それでもアイルランドの豊かな自然と共に生きていく羊飼いさんの生き方は素敵だな。2021/06/04
Toshi
20
以前読んだ「羊飼いの暮らし-イギリス湖水地方の四季」とついつい比べてしまうのだが、こちらはアメリカで育ち、様々な職業を転々とした後、祖父母の地アイルランドで牧場を引き継いだ著者の奮闘記となっている。「牧羊猫」ボディシャスを語り手にすることで、著者の行動さえも時にユーモラスに、またシニカルに描かれている。その反面、「羊飼いの暮らし」を読んだときに感じた、羊の匂いや息づかいと言った現場の空気感は薄かった。 でもアイルランドの田舎にも一度行ってみたいな。ズワルドブレスウールも暖かそうだし。2025/01/25