出版社内容情報
現象学は20世紀初頭、フッサールによって創設された哲学だが、その後、時代に要請された問いに応答しつつ、「現象学運動」と呼ばれる独自の多様な思想運動として展開された。現代に生きる現象学の可能性をさぐるため、フッサールとドイツでの現象学の展開の概要を押さえ、フランスにおける現象学の独特の展開を辿り、最後に現代における現場への展開として「ケアの現象学」を考察する。読者が自らの現場で現象学的思索を育めるようになることを目指す。
目次
現象学とはどのような哲学か:フッサール現象学の成立
フッサール現象学の展開
ドイツにおける現象学の展開(1):シェーラーとハイデガー
ドイツにおける現象学の展開(2):ハイデガー(つづき)
戦後フランスにおける現象学:「実存」という問題圏
メルロ=ポンティの現象学(1):ゲシュタルトと知覚
メルロ=ポンティの現象学(2):身体
メルロ=ポンティの現象学:「表現」をめぐって
レヴィナスの現象学:他者
現象学の看護における展開(1):ベナーの現象学的人間観〔ほか〕
著者等紹介
榊原哲也[サカキバラテツヤ]
1958年静岡県に生まれる。現在、東京女子大学教授・東京大学名誉教授、博士(文学)。専攻は哲学
本郷均[ホンゴウヒトシ]
1959年愛知県に生まれる。現在、東京電機大学教授。専攻は哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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YT
4
初、中期フッサールから他者経験の成り立ちを外観しハイデガーの気遣い、メルロ=ポンティの身体性、ベナーらの主張を軸に現代を生きるケアの現象学に迫っていく。 レヴィナスの他者概念や倫理についてなど自分で色々補完しながら読むとケアの現象学がどんどん自分の中で立体的に構築されていくようでとてもおもしろい。やっぱりキモであるハイデガーは勉強しないとな...と。 少しズレるがベナーの共通性の概念はマイノリティの連帯の方法論として応用できないだろうか?などと考えもした。2023/04/26
Hisashi Tokunaga
0
意欲的な取り組みをしないと単に難解な哲学解説書。現象学はとかく難しい。ケアの世界を現象学で理解することの意味が果たして本書で狙う通りに私に伝わったかな?2024/08/15
rokujo
0
放送大学教材として読んだ。前半で現象学の人ベースでの歴史、後半でケアの現象学としての展開を学ぶ。現象学が看護に導入される過程でその性質が相当変化するが、それも「対象の方から問いかけてくる」という現象学の構造によるもの、という解釈がされているのが印象的だった。西村さんのパートの衝撃がでかいので、別途本を買って読む予定。2023/10/29
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- 和書
- 基礎からわかる解剖学