出版社内容情報
マッハ5以上のスピードでコースを替えながら飛翔する「極超音速ミサイル」は、迎撃は不可能といわれており、中国とロシアではすでに開発、配備されたと考えられている。この「極超音速ミサイル」の登場が、第2次世界大戦後、70年以上にわたって続いた核を搭載した弾道ミサイルによる『恐怖の均衡』という時代の終焉を意味すると言われている。それは、日本の安全保障にとっても大きな転換期となることは間違いない。バイデン大統領が正式に就任し、世界と日本の安全保障環境にも新しい常識が生まれるだろう。日本の平和はどう守っていくのか? フジテレビで防衛問題を担当する報道局上席解説委員の能勢伸之氏による解説で、その行方を考えるヒントとなる1冊だ。
内容説明
ジョー・バイデンが副大統領時代に手を付けた“核兵器と同じ目的を達成する非核手段”とは何か?
目次
第1章 「恐怖の均衡」の構造
第2章 極超音速ミサイル構想の誕生
第3章 ロシア・中国が先行する極超音速ミサイル。揺らぐ弾道ミサイル防衛?
第4章 極超音速ミサイルへの対抗策。盾か矛か
第5章 台頭する中国―その軍事力の行方
著者等紹介
能勢伸之[ノセノブユキ]
1958年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。軍事・安全保障関連の取材から、軍事専門誌・雑誌への寄稿も多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アキ
95
マッハ5を超える極超音速ミサイルの構想は米オバマ政権下で生まれ、戦略核兵器の非核化を目指すものであった。しかし現在極超音速兵器プロジェクトは、ロシアと中国が先行し、米国は開発できていない。更にインドでも中国を念頭に同プロジェクトの開発をすすめている。単純な弾道軌道を描く弾道ミサイルは放物線の予測からイージス艦で迎撃可能だが、低軌道で滑走段階で変化する軌道から現在のシステムでは迎撃は困難。中国は水深2000m以上の南シナ海の原子力潜水艦から日本全土を射程に入れたミサイルシステムを構築していると考えられ、→2022/04/21
kk
10
フジテレビの名物専門記者による、極超音速兵器の開発・配備状況の実態と、それへの対応策に関する一冊。著者の該博な知識と卓越した取材力に裏打ちされて、この本の記述は殆どマニアックな域に達しています。感心させられます。他方で、せっかくの力作だけに、もうちょっと整理を良くすれば更に読み易くなるのにな、とか思ってしまいます。編集的に、もう少し工夫の余地がありそうです。2021/09/04
morelemon
0
ICBMなどの核戦力による「恐怖の均衡」からそれを撃ち破るべく開発が進む極超音速ミサイル。そこに至る流れを解説しています。本格的に実用化されれば、現在のミサイル防衛を突破されかないため、新たな脅威となるわけですが、初期から現在までの流れが解説されており、極超音速ミサイルがどのようなものかを知るにはよいのではないでしょうか。2021/07/13