内容説明
アーサーとリディア。二人が出会わなければ、こんなことには…。1953年、アーサーはこの世に生を受けた。母親からの虐待を受けながら育ったアーサーは、狡猾な悪ガキへと成長していった。大人になってからも、アーサーは邪悪な感情を秘めたままだった。その後、内気な女性リディアと知り合い、彼女は不安を残しつつもアーサーと結婚。だが、彼は変態セックスを強要したり、しだいに凶暴な性格を表していく。抑圧された日常の中、彼女は一人息子ロバートに愛情を注ぐが、ロバートもまた奇妙な動作や習癖を見せ始める―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
41
幼い子供の異常行動に悩む母親。その原因が地元の名士である夫の性的虐待であることに気づく...ケッチャムお得意のアブない奴登場ですが、本作品は児童虐待がテーマなので痛々しくなってしまいます。単なるキワモノに終わっておらず物語として読ませてくれるのはさすがですが、読んでいて気分はよろしくはありません。我が子を守りたい母親と偏執的な愛着を示す夫は、やがて法廷での闘争を繰り広げます。沸騰感たっぷりのの法廷シーンはなかなかのもので、ラストに向けての期待を煽ります。ケッチャム作品は間を置いて読むべきですね。疲労...2017/11/01
taku
20
再読。ケッチャムは巧い。胸くそ悪い話が最後まで胸くそ悪くてもグイグイ読ませる。もどかしさと不愉快さが物語の推進力。息子を性的虐待する親父は百回くたばっていい。エピローグで母親の愛と歪みを対比させて不快の谷に蹴落とすところも上手。こうしてまた狂気は育まれるのでした。フィクションでよかったと思うが、現実に起きている事件の猟奇性、暴力性は物語を凌駕する。この手の小説で私のハートを打ち砕くような作品に出会ってみたい。2018/08/18
ω
12
胸糞悪さはガールネクストドアに及ばないけれど、 こちらは法や警察が絡んできて奥深い。絶望的な気分になるけれど、最後のリディアには救いがありますω。2018/08/24
ジョン
12
この世に生を受けてすぐ、アーサーは実母に殺されかけた。それからも虐待は続き、アーサーは心が拗けた美男子に成長する。時は流れ、アーサーと出会ってしまった女がいた。名前はリディア。アーサーの正体を知らないリディアは彼と結婚し、一人息子のロバートを産んだ。数年後。アーサーは、我が子を性的虐待した。……父母が息子をめぐって争うのが表のテーマで、裏のテーマは虐待の連鎖。このオチは胸糞悪い。悲劇の連鎖を食い止めようとしたリディアが、逆にその鎖に雁字搦めにされて、あわや。……ケッチャム、あんた最低や!!(褒め言葉です)2017/04/22
いちじく兄さん
11
手のひらサイズの手軽な鬼畜本、ケッチャム先生。幼少期に親から虐待を受けた少年は、変態的な悪ガキへと成長。やがて結婚するが妻が夫の二面性…どこか変な性癖に気付き始める。やがて子供が産まれる。妻は明らかな子の奇行に悩むが、夫の※変態的性癖※が子に性的虐待をしてると疑う。そして夫婦の戦いが始まる。正直、ケッチャムが裁判ネタをここまで真面目に書くとは意外。そして子を守る母は強し!ここまで酷い事よく思いつくな、という事しか書かない作家だと思っていたが、本作は残虐ネタ控えめで普通にオススメできる良いサスペンス。2017/06/21