感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吉田あや
60
宮沢賢治の祈るような優しい想いと人間に対する悲しみと慈しみが滲む「グスコーブドリ」「猫の事務所」「どんぐりと山猫」の3篇。自らと同じ悲しみを誰にも味あわせまいと、自己犠牲も厭わず火山に登り、雲の上から見る山と月と光の世界でただ静かにみんなの幸せを、笑顔を巡らせ、祈るように自然へと還っていくブドリに見る心象風景は、切なくも宮沢賢治が数々の作品で書いてきた透き通る風のように清々しく限りなく穏やかで美しい。2016/04/27
kasmin
14
ブドリは賢治そのものですね。読む度に熱いものが込みあげてきます。みんながんばってる。常に全体を考えながら、懸命に良くしようと生きてる。四苦八苦しながら。このような方々が今の世にもたくさんいるのでしょうね。なんて遠いところにいるのかな。自戒をこめて、ブドリたらんことを。2014/09/17
杏子
11
映画は見る予定はないけれど、読んでみた。宮沢賢治は好きでも嫌いでもなかった。でも積極的に読もうとはしなかっただけで、いま読んでみると、悲しい気持ちと清々しい気持ちと両方を感じる。ますむらさんのマンガになると、また新たに深みを感じた。三編それぞれとてもよかった。人間じゃなくて、猫キャラだからかな?より純粋に感じられた。2012/07/11
shiman
9
飢饉、災害、自己犠牲がストレートに創作に描かれている。自分だったらちょっとは迷っても「楢山節考」的なものを全否定できない時代であれば当然のように博士の申し出を容認してしまうと思う。グスコーブドリとは真逆らしい「ペンネンネネム」も読もう。2015/07/15
URI
9
グスコーブドリの伝記では、ひたむきに人々の幸せの為に動くブドリに胸が熱くなる。猫の事務所では、かま猫の辛さを感じ胸が痛くなる。どんぐりと山猫では不思議な気持ちになる…と、漫画だから淡々とした感想しかなかった。やはり、活字で読むのが良いと思われました。が、小学生が読むには良いかと…。2014/01/04