内容説明
ウィリアム・スタンディッシュは英文学者。義理の祖母にあたる詩人イザベルを論文の対象にする彼は、イギリスに旅立つ。祖母や名だたる文学者たちが、憩いの時を過ごしたエスウッド・ハウスという謎めいた秘密の屋敷に向かって―。(『女神の館』)現実の世界から遠く隔絶した「宿命」という名の「扉のない家」に魅せられた男たちの恐怖を描くストラウブ入魂の傑作ホラー集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
46
著者らしい文芸よりの作品集です。 ホラーの位置づけなのでしょうが、スーパーナチュラルを全面に押し出さず、人間の心理を丹念に描写することで恐怖を煽っているのが特徴的です。それぞれの作品は、ごく短い頁数にまとめることもできるはずですが、冗長とも思える中編作品に仕上げています。人の痛みや苦しみをじわじわと表現するには、著者の作風と作品の長さは相乗効果をうむのかもしれませんね。どの作品も結末に明確な何かが提示されるわけではないので、じっくりとこの長い物語の過程を楽しむことができるかが、好き嫌いの分かれ目でしょう。2019/12/11