内容説明
ドイツの町には、おどろくほど個性がある。通りや建物、広場から、民家の屋根や壁の色、窓のつくりにいたるまで、土地ごとに様式があり、みごとな造形美を生み出している。長らく領邦国家が分立していた歴史的背景から、町ごとの自治意識が強く、伝統や風習に誇りを持っている。港町、川沿いの町、森の町、温泉の町―。ドイツ各地をめぐり、見過ごされがちな風物や土地に根ざした人々の息づかいを伝える紀行エッセイ。
目次
1 北ドイツ(リューゲン島;フーズム;リューベック ほか)
2 中部ドイツ(ボン;ケルン;アーヘン ほか)
3 南ドイツ(トリアー;フロイデンシュタット;シュヴェニンゲン ほか)
著者等紹介
池内紀[イケウチオサム]
1940年(昭和15年)、兵庫県姫路市生まれ。ドイツ文学者。主な著訳書に『海山のあいだ』(講談社エッセイ賞)、『ゲーテさんこんばんは』(桑原武夫学芸賞)、ゲーテ『ファウスト』(毎日出版文化賞)などがある
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
128
著者の池内紀氏はゲーテやカフカの翻訳、研究で名高いが、また一流の紀行作家でもあり、その方面での著書も多い。ドイツの町がそれぞれに魅力的なのは、その一つ一つに固有の歴史と文化的背景があり、それが守り続けられているからである。そして、それを支えているのが自治の精神であり、それは州単位などではなく、町や村の単位でのものなのだ。つまり、横並びでナンバーワンを目指すのではなく、それぞれが個々にオンリーワンなのだといってもいい。ただ、そうした町のいくつかに(それも結構な数だが)共通して影を落としているのがナチスだ。2014/01/22
KAZOO
113
新聞の日曜版かに連載されていたものを集めたもので、観光ガイドとは異なって私は非常に楽しく読みました。北ドイツ、中ドイツ、南ドイツに分けてそこの様々な年の歴史等を含めて文学者の目から見たドイツの様子がわかります。私もかなりの街を訪れているのですが、まだいっていないところが多くいきたくなりました。2015/11/17
ちくわん
20
2002年11月の本。知っていたのは18都市。公国、大公という支配が現在の都市の起源か?神聖ローマ帝国や三十年戦争が、未だわかっていないので基礎力不足。それにしても池内先生の文章は、私は好きだ。折角だからもう少しドイツのことを知ろう。できれば艶っぽい話題で。2022/01/23
tak
6
大小問わずドイツ各地の様々な街について、歴史や言い伝えなどを交えて紹介する紀行文。一般的なガイドブックなどには絶対に載らないようなマニアックな街がたくさん紹介されている。Google Mapsを片手に、それぞれの街の位置と作りを確認しながらじっくりと味わえた。2020/09/10
雲をみるひと
6
ドイツの各都市がテーマのコラム集。ゲーテ関連のトピックが頻出するようにいかにも文学者という視点で書かれており、観光等の実用用途には向いていないと思われる。一方で、街歩きが楽しくなりそうな各都市に関する知識が散りばめられている点は好感が持てる。2018/09/07