出版社内容情報
新高校2年生の湯浅希和子は、部員たった5名の文芸部員。近現代文学に詳しく「明治時代の遺物」と呼ばれる山下先輩、詩を書く島田楽(もと)、小学校時代から「童話作家になる」と作品を書き続けている楓香など、個性が集まる部に新しく新一年生が入ってきた。
希和子は、読書はきらいじゃないが、自分はクリエイティブな才能のある人間じゃないと思っている。創作に熱を燃やす部員たちのなかで希和子が見つける文芸との関わり方は? 心がただ一筋に打ち込めるものって? 部員それぞれの「書きたい」気持ち、「書けない」ジレンマ、文芸部の人間模様を横糸に、希和子のラブストーリーが縦糸として織られる。上野、谷中・根津・千駄木界隈を舞台に、レイク(不忍池)サイドロードで紡がれる希和子の青春物語。
内容説明
東京・下町―。ここは、わたしの書きたい言葉が見つかるまち。そして、わたしの恋がはじまるまち。上野・根津・千駄木を舞台に描く高校文芸部員たちの青春の物語。
著者等紹介
濱野京子[ハマノキョウコ]
熊本県に生まれ、東京都で育つ。『フュージョン』(講談社)で第2回JBBY賞、『トーキョー・クロスロード』(ポプラ社)で第25回坪田譲治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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chimako
78
【第35回読書感想画中央コンクール指定図書】千駄木にある都立池端高校の文芸部が舞台。本は好きだが誘われ入部、創作には自信がなくどこかで引け目を感じている湯浅希和子を主人公に、遠慮のない一年生やファーストネームで呼ぶ先輩、気のおけない友人たちとの部活の様子が気取りのない文章で描かれる。在日コリアンの営むブックカフェや上野公園など、学校周りの雰囲気は目次にある地図のイラストで知ることが出来、すごく良い感じ。そこに現れた妹の元カレ、年下の朔の一言が希和子の心に波紋を描く。初々しい恋の始まりを予感させるラスト。2023/09/11
☆よいこ
71
YA。純文学ぽい▽高校2年生の湯浅希和子(ゆあさきわこ)は、新入生で入学してきた木原朔(さく)と再会する。ひとつ年下の朔は希和子の妹の元彼で、希和子は弟のように思っていた。友人に誘われて文芸部に入ったものの、創作が出来ないことを気に病んでいた希和子は、朔と話しているうちに励まされ、自分の意見を言えるようになっていく。創作についての悩みや葛藤を描く▽上野界隈のご当地小説としても。爽やかな青春恋愛物語でした。2023.3刊2023/07/08
真理そら
61
カバーイラストのイメージ通りの青春物語。巻頭の上野界隈のイラストマップもいい。創作の才能も意欲もないが読書量の多い希和子は友達から部存続のための人数合わせを頼まれて文芸部に入部する。が、書かない部員・希和子はだんだん部内で居心地が悪くなる。ある日、妹が中学時代に付き合って別れた相手・朔と偶然の再会をし、居心地のいい時間を過ごし勇気も貰う…朔が魅力的なので朔目線の物語も読みたい気がした。2024/03/25
kei302
58
表紙カバーイラストやタイトル、冒頭のイラストマップからは界隈を高校生が巡る話かな(違ってた)文芸部に所属する高校2年生の湯浅希和子の一年間の話で、周囲の友人との違いに戸惑ったり、慕ってくれる後輩の気持ちに鈍感だったりと、文化系クラブ高校生の日常の積み重ねが丁寧に綴られている。打ち込めるものを持っている高校生は少数派だと、歳を取った者からは言えるけど、今、その時を生きている高校生にとっては、何もない自分は深刻なんだろうなあ。2023/03/15
信兵衛
25
すこぶる気持ちの良い青春譚、お薦めです! なお、この「レイク」、不忍池のこととは思ってもみなかった。2023/04/26