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百年文庫

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  • サイズ B40判/ページ数 135p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591121740
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

反逆の疑いをかけられて監獄に送られた母と、その母を告発した罪で兵士に囚われる息子。正義と絆の葛藤が二人に圧し掛かる(ヴィーヒェルト『母』)。四十四歳、付き添い婦のミス・メアリは慎み深い淑女。その彼女が生涯でただ一度、かつてない敵愾心をむき出しにした相手とは(キプリング『メアリ・ポストゲイト』)。「八月六日の朝、私は八時頃床を離れた」―被爆直後の広島で一命をとりとめた著者による渾身の記録(原民喜『夏の花』)。人々と街を不条理に変貌させた「戦争」。哀しみを今なお伝え続ける三篇。

著者等紹介

ヴィーヒェルト[ヴィーヒェルト][Wiechert,Ernst]
1887‐1950。ドイツの作家。教職の傍ら執筆し、『カペルナウムの大尉』が国際短編コンクールで一位に。ナチスに囚われた強制収容所での日々を、『死者の森』に著した

キプリング[キプリング][Kipling,Rudyard]
1865‐1936。イギリスの小説家、詩人。英統治下のボンベイ(現・ムンバイ)に生まれ、新聞記者として活躍。インドの自然や生活を舞台に異文化と冒険に満ちた作品を執筆した。1907年にノーベル文学賞を受賞

原民喜[ハラタミキ]
1905‐1951。広島市生まれの詩人、作家。慶應義塾大学卒業後、作品集『焔』を自費出版。「三田文学」などに寄稿した。妻の死後、疎開した広島で被爆し、『夏の花』をはじめ原爆体験と死を主題とした作品を発表した。1951年自殺(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

モモ

46
ヴィーヒェルト『母』自分の子どもに告発され死刑になるところだった母。ナチス親衛隊の息子は、明るく澄んだ声で母を告発する…。。そして母との再会。ヴィーヒェルト自身も思想犯として収容所にいただけに、苦悩と絶望とあきらめと希望が静かに語られる。キプリング『メアリ・ポストゲイト』付添婦メアリは世話していたウインを戦争で失う。そして目の前に子どもを殺したらしい負傷したドイツ兵が現れる。許せないメアリは…。重くせつない。原民喜『夏の花』広島での被爆体験が語られる。あぶりだされる戦争の恐怖と悲しみがつまった一冊でした。2022/08/27

臨床心理士 いるかくん

32
3人の作家の3篇の作品から成るアンソロジー。それの後には、もう何も残らない。2014/12/21

TSUBASA

23
戦火に灼かれた人々の物語。反逆の嫌疑で監獄へ送られた母が家へと帰ってくる。一方で、母を告発した罪で捕われた息子。二つの罪が交わる、ヴィーヒェルト『母』。ファウラー家の付添婦として雇われたメアリの、家の甥であるウインを殺した敵兵に対する復讐、キプリング『メアリ・ポストゲイト』。広島の原爆被害の生々しい情景を描いた、原民喜『夏の花』収録。原民喜の作品は決して失ってはならない作品ではあるけど、今回収録作品で眼を引いたのはキプリングかな。亡き者の身辺整理をしているときに遺品が淡々と連ねられる場面が実に心苦しい。2016/05/01

15
ヴィーヘルト「母」キプリング「メアリ・ポストゲイト」原民喜「夏の花」の戦争の惨禍を描いた3編。原爆投下後の広島を生きた原民喜が書く夏の花がやっぱりしんどい。「これは精妙巧緻な方法で実現された新地獄に違いなく、ここではすべて人間的なものは抹殺され、たとえば屍体の表情にしたところで、何か模型的な機械的なものに置き換えられているのであった」2022/06/04

マッキー

15
原民喜の「夏の花」、目を覆いたくなるようなグロテスクな描写で、戦地で逃げ惑う人の荒れた息遣いや焼けただれた肌の生々しさまでありありと描写されている。2018/02/16

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