百年文庫

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  • サイズ B40判/ページ数 157p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591121313
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

「ああ、日本人、ヘンリイも日本人、俺も日本人」―。カナダ兵として戦勝パレードに参加した同朋の雄姿を、「私」は感慨深く見つめた(谷譲次『感傷の靴』)。一人息子を戦争で亡くしたおときさんと捨て犬のチコ。心寄せ合うふたりの親子愛(子母澤寛『チコのはなし』)。「木ノ花さん、助けてよ。わたし今日、ほんとに困ってんの」。大柄な女性作家に絡まれ、強引に家に連れ込まれた小柄な男性編集者。一晩の駆け引きの顛末は…(富士正晴『一夜の宿・恋の傍杖』)。街角に明滅する人生のドラマ。

著者等紹介

谷譲次[タニジョウジ]
1900‐1935。新潟・佐渡の生まれ。本名は長谷川海太郎。渡米体験をもとに谷譲次の筆名で「めりけんじゃっぷ」ものを執筆。同時に林不忘の名で「丹下左膳」シリーズを、牧逸馬として怪奇実話や通俗小説を発表した。異例の個人全集『一人三人全集』を刊行した2週間後に35歳で逝去した

子母澤寛[シモザワカン]
1892‐1968。北海道石狩郡に生まれる。明治大学卒業後、新聞社に勤務しながら『新選組始末記』などを発表し、『勝海舟』『父子鷹』『おとこ鷹』ほか幕末維新を背景とした作品を執筆。『味覚極楽』『ふところ手帖』などの温かく味わい深い随筆でも知られる

富士正晴[フジマサハル]
1913‐1987。徳島県に生まれ、大阪で執筆。1932年に野間宏らと同人誌「三人」を創刊。戦後は島尾敏雄らと「VIKING」を主宰し、『敗走』で芥川賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しいたけ

115
懐かしい時代の街角は、気取らず滑稽。背伸びして作ったビーフシチューに、筍が入っているような切なさがある。拾った犬を戦争で死んだ息子に重ね愛情を注ぐ女中のおときさんと、彼女に寄り添う犬のチコの話。これをベタだと馬鹿にする方は、3編目の大柄肉食系女性作家の前に縛ったまま置いてこようと思う。恐怖の一夜。覚悟してほしい。2017/09/15

モモ

41
谷譲次『感傷の靴』いまいち内容が頭に入ってこない。子母澤寛『チコのはなし』一人息子を戦争で亡くした、おときさん。捨て犬を飼うことになり、まるで親子のような仲の良さ。そんなおときさんが病気になり、犬も元気をなくしていく…。富士正晴『一夜の宿・恋の傍杖』まさに題名通りの話。女は去れと言いつつ、男が去ろうとすると必死で止める。その騒動を眠たいなか見せられる男性。うんざりしたやりとりが延々と続く…。子母澤寛さんの作品をもう少し読んでみたい。街のいろいろな人間模様の話。2022/08/05

神太郎

35
「感傷の靴」は、一見どうしようもない友人でも颯爽と軍隊のリーダーとしてカッコよく登場し、しかもそいつのはいてる靴が自分の貸したものだったとしたら、何故か誇らしく思ってしまうのは男だからだよなぁ。自分も少しその気持ちわかる。子母澤寛の話は、家政婦と拾ってきた犬との絆を描いたお話。こういう飼い主と犬のお話というのは多く見受けられるけども、やはり好きだし、今回に関しては切ない。富士正晴の男と女の駆け引きとけんかと。これはなかなか面白い。女が大立ち回りし寝静まってからの男同士の会話もなんか味がある。2019/11/03

臨床心理士 いるかくん

29
3つの短編から成るアンソロジー。個性派3人それぞれの作品はどれも味わい深いが、特に私が好きなのは、家政婦と拾ってきた犬との交流を軽妙な筆致で描いた子母澤寛の「チコの話」である。2014/02/15

マッキー

19
「チコのはなし」、切なさと悲しさとあたたかさに覆われたような小説。この3編の中では1番のお気に入り。涙を誘う小説だった。まさか、おときさんだけでなく、チコまでも死んでしまうとは・・・。2017/01/25

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