出版社内容情報
秘書給与流用事件により、実刑判決を受けた山本譲司元代議士が433日の獄中生活と事件について語る異色のノンフィクション。
内容説明
そこは「塀の中の掃き溜め」と言われるところだった。汚物にまみれながら、獄窓から望む勇壮なる那須連山に、幾重にも思いを馳せる。事件への悔悟、残してきた家族への思慕、恩人への弔意、人生への懊悩。そして至ったある決意とは。国会で見えなかったこと。刑務所で見えたこと。秘書給与事件で実刑判決を受けた元衆議院議員が陥った永田町の甘い罠と獄中の真実を描く。
目次
序章 入獄の日
第1章 秘書給与詐取事件(政治を志した生い立ち;菅直人代議士の秘書、そして国政の場へ ほか)
第2章 新米受刑者として(分類面接;手紙 ほか)
第3章 塀の中の掃き溜め(寮内工場の仕事;障害を抱えた同囚たち ほか)
第4章 出所までの日々(烏兎匆々;ふたたびクローズアップされた秘書給与問題 ほか)
終章 出獄
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bibi
38
この本を手にしたきっかけは、「ケーキの切れない非行少年たち」に出てきたからです。刑務所の中の障害者の実態を中心に描かれているのかと思いましたが、そうではなく山本譲司さんの体験記でした。(それでよかったのですが)山本さんは、政策秘書の名義借りを潔く認め、実刑を受け入れ刑に服しました。私たちの知りえないその貴重な体験を興味深く読みました。2020/10/13
キムチ
27
仲間の勧めで読んだが、ちょっと異種の感慨を受ける。読み始めは彼の自己弁護、教養臭が鼻についたが、それを感じる自分自身に拘りがあるので逆に反省。後半部に入ると「精神疾患の住み辛さ」はシャバ以上の温度を持つものだと感じ入る。閉鎖空間故もあるのだろうか。行刑施設は法治国家では不可欠のシステム。人が人を裁かなくては社会は運営できぬ・・と考えると筆者が「理不尽だ、人権問題だ」とほぞをかみ続けるのやむことを得ざるのかなと思う。文中に繁用される字句の数々は書物の多読を感じさせられた。看守も塀の中の住人・・がいい得て妙。2013/12/23
kinkin
23
元衆議院議員、山本譲二氏、433日の獄中生活記。寮内工場という精神疾患や痴呆の収容者を世話する役目につく。刑務所内の看守との軋轢や、収容者同士のいがみ合いなども書かれている。刑務所というところは、憲法で保障されている基本的人権よりも、明治時代に制定された監獄法がいまだに優先されていることに驚くと同時に、自分あるいは肉親がもし犯罪で刑務所に入らなければならない状況になった時、考え方や行動をどう退所すべきか考えさせられた。2014/03/23
かおる
19
「ケーキの切れない‥」の本で出てきたので読んでみた。よく耳にした秘書給与流用事件の仕組みや刑務所の実態がよくわかり、また刑務所内での山本さんの献身的な態度に感銘を受けた。2020/11/22
日の丸タック
6
なんて真っ直ぐな人なんだろう(^^;; 現役国会議員でありながら公設秘書給与詐欺問題実刑判決を受け懲役⁉️ 受け止め方の真っ直ぐさに感涙‼️ 当事者としての正直な反応や感想に共感⁉️人の弱さや自尊心、そして弱さの反応としての強がり去勢‼️究極の場としての刑務所での生活に感嘆⁉️ これ程真っ直ぐな人が服役しなければならない法制度にも大きな疑問を感じた‼️ 法は、社会は何を守ろうとしているのか⁇本当の正義は何処にあるのか⁇ 戦時中配給だけで餓死した真っ直ぐな人の話を思い出した。 正義はどこだ⁉️2015/03/22