出版社内容情報
ケンタッキーの森の中で、貧しいきこりの子として生まれたアメリカの大統領、エイブ・リンカーンが凶弾に倒れるまでの生涯を描く。
内容説明
ここでわたしたちの語ることなどを、長く記憶していないでしょう。人民の、人民による、人民のための政治を、断じてこの地上から死滅させないこと、であります。
目次
第1部 労働者エイブ(船出;ケンタッキーの思い出 ほか)
第2部 いなか弁護士(ふしぎな地下鉄;苦闘十五年 ほか)
第3部 最後の勝利(私情を越えて;「失われた演説」 ほか)
第4部 人民の父(大統領就任;戦争はついにはじまった ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たつや
2
アメリカの偉大な大統領の伝記。開拓民だった少年時代から、大統領になるまでのサクセス・ストーリーも素晴らしいが、奴隷解放が何よりも大きな歴史的仕事だったと思う。そして、考え方や、行動が自分も反省せねばとは考えさせられる。2021/12/26
がんぞ
2
ホイッグ党分裂で《正義》の名の本に結集した共和党結党に参加したリンカーンと、同じく苦労してのしあがって《秩序》の民主党候補となったダグラスの論戦に重点が置かれている。ダグラスは新加入の州が奴隷制採用の可否を住民投票で決めようと提案し採用されたが譲れない対立はおぞましい選挙戦を生んだだけだった。1858年の上院議員選挙で議論は奴隷州の中央政府による自由化がありうるか、に“Yes”と応じたことでダグラスは苦しくなった。度重ねられる立ち合い演説会、深まる議論が民主主義/美談化されているが、解放黒人の困窮死数百万2014/01/20
シュー栗ィム
2
こんなにも国民のことを考えてくれる国の長は現代でもいるのだろうかと読了後、最初に思えた感想です。世界史の教科書にはたったの数行で説明されている南北戦争も、実はこんなにも色々な背景があったのだと気づかされました。反逆者である南州の人に対しても北州の人と同等に扱い、気遣おうとしたリンカーンを凄く尊敬します。暗殺されずに大統領を引退して余生を自分自身のために生きられていたならと思うと悲しいです。2012/10/30
おとなふみちゃん
2
先日読んだ本に、例えば、リンカーンの伝記を読むなら、この本(吉野源三郎氏の)が、一番忠実に書かれていてお勧めだと書いてあった。文学全集の1冊分程度の文章量。未読返却だが、いつか読みたい。2012/10/05
つきと
2
違う価値観で、違う利害で、だけど同じ国民。同じ思想の元、独立を果たしたアメリカの人民が、その後綿農業の利益に因って階級が生まれ、そして奴隷制度を正当なモノとしようとする。それに反発する、違う思惑を持った勢力たち。個人として自由であるということと、国として自由であるということ。そして国民として自由を願うこと。全ては重ならない。それら全てを重ねようと粘り続けたリンカーンの凄さを改めて感じた。それだけに最期に泣けた。2010/02/01
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