内容説明
約半世紀前、広島・長崎原爆投下に国際法的判断を下した世界で唯一の判決「下田判決」を起点に核問題をめぐる法と戦略とのせめぎ合いを歴史的に検証する。冷戦後もなお国家の自衛や核抑止の名の下に核兵器使用への規制が弱い現実を鋭く指摘し、国際司法裁判所の勧告的意見を詳細に分析する。さらに9・11テロ後のアメリカ新抑止戦略の下での日米安保条約の展開状況を跡づける。
目次
第1章 広島・長崎原爆と国際法―原爆判決を手がかりに(原爆訴訟の経緯とその反響;判決理由の検討)
第2章 核兵器と国際人道法―1977年追加議定書の適用問題(国際人道法の再確認と発展の作業における核兵器をめぐる議論;追加議定書における核兵器の位置―「核兵器ぬき」の法的意味)
第3章 冷戦(平和共存)期における核兵器先制不使用と国際法(核兵器先制不使用(No First Use)の意味
核兵器先制不使用の諸提案 ほか)
第4章 核の脅威に取組む国際司法裁判所―核抑止と自衛の議論(核兵器威嚇・使用合法性に関する国際司法裁判所の勧告的意見;核兵器使用への人道法アプローチ―ICJ意見論評1 ほか)
補論 核抑止論と集団的自衛条約―安保条約体制50年の軌跡(はじめに―「核兵器のない世界」と核抑止の関係;核抑止論の展開―冷戦期からポスト冷戦期へ ほか)
著者等紹介
藤田久一[フジタヒサカズ]
1961年京都大学法学部卒業。東京大学教授、神戸大学教授、関西大学教授を経て、関西大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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