存在感をめぐる冒険―批判理論の思想史ノート

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存在感をめぐる冒険―批判理論の思想史ノート

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  • サイズ B6判/ページ数 511p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784588460159
  • NDC分類 104
  • Cコード C0090

出版社内容情報

〈今ここに私がいる〉という実感が、なぜ人生の意味と美をなすのか。現代思想を縦横に論じ、人生の愉悦のありかを探る批評の冒険。存在感とは、〈今ここに私がいる〉という、否定することも手放すこともできない実感である。この一見あたりまえで常識的な経験は、どのようなメカニズムで生成し、複雑で重層的な人生の意味と美をなしているのか。現象学、記号学、民俗学、脳科学、国家論、精神分析、生政治論など現代思想の主題を縦横に論じ、「生きること自体」の愉悦のありかを探索する批評の冒険。

はじめに



第一部 存在感とはなにか



1章 自己の存在感という経験

1 なぜ存在感なのか──幸福と自己の存在感の快楽

幸福と存在感/情念の意識としての存在感



2 ルソーの存在感

「現存するという感情」/存在感の経験の多様性/常識哲学と存在感の哲学



3 自己の存在感──パースの一次性、二次性、三次性と知情意

記号としての感情──第一次性の存在感/対象としての情動、欲動──第二次性の存在感/解釈項としての意志──第三次性の存在感



第2章 存在感の組織化



1 カントの「内感」とパースの「自己意識」



2 ドゥルーズの基礎概念



3 本来的存在感



4 自己の存在感

アイデンティティとしての自己の存在感の快楽と苦渋/自愛──自己の存在感への愛着と呪縛



5 存在観



6 主体と主体化



7 根源的存在感



8 実在感



9 ヴィゼナーの「存在感」──実存範疇のまとめ



第3章 存在感の形而上学──ケ、ケガレ、ハレ、カレ



1 ケ(ケ、ケガレ、ハレ、カレ)

ジェイムズの純粋経験──ケ(ケガレ)/エリオットのフィーリング──ケ(カレ)



2 ケガレ(ケ、ケガレ、ハレ、カレ)

ロレンスの『死んだ男』──ケガレ(ケ、ケガレ、ハレ、カレ)



3 ハレ(ケ、ケガレ、ハレ、カレ)

パースのハレ(カレ)/ブレイクの「四重のヴィジョン」



4 カレ(ケ、ケガレ、ハレ、カレ)

埴谷雄高の『死霊』/モーリス・ブランショの『文学空間』



第4章 存在感の現象学



1 〈今ここ〉──存在感の時間と空間

〈今〉の時間論/〈ここ〉の場所論



2 〈私〉の存在感──自己と統覚の主体

エリオットの〈私〉とライプニッツの統覚とカントの統覚の主体/意識の流れと超越論的自我



3 〈いる〉の存在感──存在と行為

観照的存在感と実践的存在感/存在と行為──ヘンダーソンの「在ること派」と「成ること派」/ウルフと〈いる〉と根源的存在感/気遣いとゾルゲ──存在感分析と現存在分析/〈いる〉の病理としての自己の存在感の喪失──水島恵一の『自己と存在感』/〈いる〉の変調──気違い・気狂いとテレンバッハ



4 〈今ここに私はいる〉の〈感じ〉

キーツとfeeling の意味素/ホワイトヘッドの「感じ」



第二部 存在感の生成と展開──記号過程の自然史と社会史



第1章 意識の自然史あるいはその発生と展開の記号学と脳科学



1 宇宙論──神話から形而上学をへて天体物理学へ



2 不可能なるものから可能なるものへ──非在から存在へ



3 記号過程の展開としての自然史──ビッグバンからダニの生態まで



4 生命の誕生から意識へ──ホフマイヤーの記号過程論



5 自然史のなかの第四項



6 人類記号過程としての言語の誕生

人類記号過程の系統発生/人類記号過程の個体発生──酒井邦嘉の『言語の脳科学』



7 人類記号過程と意識の発生

意識の発生/自己意識の発生──意識の意識



8 脳科学と意識──アントニオ・ダマシオをめぐって

ダマシオの三つの自己意識/中核自己から自伝的自己へ──言語の介入について/脳科学と精神分析/ダマシオの自伝的自己とマラブーの脳の可塑性



第2章 世界観の効果と自己意識の構造



1 判断と文の効果



2 文の遠近法と方向性と世界観の効果

方向性/遠近法 /世界観の効果/ワイルドの『サロメ』



3 根源的メタファーと世界観

隠喩、換喩、提喩、アイロニー、ナンセンスと世界観/文の効果と修辞の効果と自己形成/発話の主語と発話行為の主体──自己同一化からの離脱または空無としての主体/物語分析──背景や登場人物の布置の示す寓意と記号過程の構造/存在感分析の手法としての言説分析──バフチンとペシュー/存在感分析としての読書──『ピーター・パン』の文学的経験



第3章 社会と国家と権力──人類記号過程の外在化と物象化



1 カストリアディスの「社会的想念」



2 人類記号過程の「外在化」としての権力構造と社会組織

三極構造

フロイト、ラカン、フーコー──記号と権力

言語と権力──ルジャンドルの『ドグマ人類学総説』

トフラーそしてデュメジル──権力の構造

E・H・カントーロヴィチの『王の二つの身体』

人格の三極構造──クローカーとアウグスティヌス

アガンベン──権力から無為へ

ミルトン・シンガーの記号学的人類学──自己の三極構造とその超克



四極構造

クラストルの『国家に抗する社会』──政治人類学と記号過程

国家なき社会の経済──マリノフスキーそしてモース

スコットの無国家の空間「ゾミア」とグレーバーのアナーキズム経済



第4章 国家から国家なき社会を生み出す手法──植民地の経験に学ぶ



1 植民地の経験

マーガレット・アトウッドの『サバイバル』──ケガレとしての犠牲者/ホミ・バーバとリミナル(境界)



第三部への間奏──吉本隆明の「大衆の原像」の「内観」



第三部 存在感分析と精神分析



第1章 「在ること派」と「成ること派」または強迫神経症とヒステリー



1 「在ること派」の精神分析と文学理論──神田橋條治とバルトの場合

神田橋條治の『治療のための精神分析ノート』/バルトの『テクストの快楽』



2 ラカンの精神分析とパースの記号学──「成ること派」の精神分析

精神分析のセラピーと存在感分析のセラピー/ラカンとパースの相似性/ラカンの主体の構造論とその変遷/自己意識の弁証法と記号過程──フロイト、ラカン、パースの三極構造と四極構造



第2章 精神分析を存在感分析で読む



1 症例としての呪縛する自己の存在感と反復強迫の経験

生の欲動と死の欲動/自己の存在感と反復強迫



2 自己の存在感の呪縛とフェティッシュ

「小さな対象a」/フェティッシュとしての物象化──「である」から「する」へ/「小さな対象a」からの離反──精神分析の快楽と存在感分析の悟り/フェティシストと自己の存在感の呪縛/パラノイアとスキゾフレニーまたは「否認」と「排除」──三角形の外へ



3 自己の存在感と転移──歴史的トラウマからの離脱と呪縛する自己の存在感の解縛



第3章 〈生治〉へ向かう新しい主体──その思想と論理



1 普遍性と相対化の論理──四極構造の可能性の核心

ベンヤミン、ヘーゲル、マルクスそしてパースの記号過程/ジジェクの「外部の観察者」/普遍性と相対化



2 〈私〉の死とその超克の論理──客観的主体化、出来事の抹消不可能性、存在の相対化流れない時間/主観(人間)の主体と客観(対象)の主体/〈起こったことは起こったことで決して無くなりはしない〉──客観的主体としての出来事の抹消不可能性/死の克服としての存在と非存在の相対化──歴史の外部から脱歴史へ



第4章 革命的主体としての強迫神経症とヒステリー



1 ヒステリーと革命家

エルネスト・ラクラウ──敵対性としての主体/ジュディス・バトラー──行為体としての主体/ジジェクの場合



2 強迫神経症者の革命──精神分析から存在感分析へ

「明かしえぬ共同体」と「無為の共同体」/制度化する社会、構成的権力、脱物象化──カストリアディス、ネグリ、ホロウェイの場合



3 「単なる生」の歴史化──〈生治〉のほうへ

脱成長の経済/ポスト歴史──日本文化と気の具体化/生政治の具体化する生/「在ること派」の実現のための行動主体/「在ること派」──『里山資本主義』と『車輪の下』



4 存在感分析の実践例

読者の存在感分析──『あるときの物語』をめぐって/作者の存在感分析──クッツェー『エリザベス・コステロ』の場合



おわりに



参照文献

あとがき

事項索引

人名索引

大熊 昭信[オオクマ アキノブ]
著・文・その他

内容説明

存在感とは、“今ここに私がいる”という、否定することも手放すこともできない実感である。この一見あたりまえで常識的な経験は、どのようなメカニズムで生成し、複雑で重層的な人生の意味と美をなしているのか。現象学、記号学、民俗学、脳科学、国家論、精神分析、生政治論など現代思想の主題を縦横に論じ、「生きること自体」の愉悦のありかを探索する批評の冒険。

目次

第1部 存在感とはなにか(自己の存在感という経験;存在感の組織化;存在感の形而上学―ケ、ケガレ、ハレ、カレ;存在感の現象学)
第2部 存在感の生成と展開―記号過程の自然史と社会史(意識の自然史あるいはその発生と展開の記号学と脳科学;世界観の効果と自己意識の構造;社会と国家と権力―人類記号過程の外在化と物象化;国家から国家なき社会を生み出す手法―植民地の経験に学ぶ)
第3部 存在感分析と精神分析(「在ること派」と「成ること派」または強迫神経症とヒステリー;精神分析を存在感分析で読む;“生治”へ向かう新しい主体―その思想と論理;革命的主体としての強迫神経症とヒステリー)

著者等紹介

大熊昭信[オオクマアキノブ]
1944年生まれ。群馬県出身。東京教育大学英語学英米文学科卒、東京都立大学大学院および東京教育大学大学院で修士課程修了。筑波大学教授、成蹊大学文学部教授を歴任。ブレイク論で博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。