内容説明
近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。自宅に楽器を持たない少年・風間塵16歳。かつて天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄伝亜夜20歳。楽器店勤務のサラリーマン・高島明石28歳。完璧な技術と音楽性の優勝候補マサル19歳。天才たちによる、競争という名の自らとの闘い。その火蓋が切られた。
著者等紹介
恩田陸[オンダリク]
1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年「夜のピクニック」で吉川英治文学新人賞と本屋大賞、06年「ユージニア」で日本推理作家協会賞、07年「中庭の出来事」で山本周五郎賞、17年「蜜蜂と遠雷」で直木三十五賞と本屋大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
904
なんとも魅力的なタイトル。それぞれが何のシンボル、もしくは隠喩であるのかはわからないが、不思議な郷愁を誘われる響きである。物語は、4人の主要なコンテスタントを軸にひたすらに芳ヶ江ピアノコンクールの模様を追跡してゆく。各人のエピソードは語られはするものの、基本的にはコンクールでの演奏そのものが描かれる。それでいて、読者を飽きさせたり退屈させることなく、このページ数を語っていく恩田陸の筆力はたいしたもの。読んでいる私たちもコンテストに臨場し、いつしかピアニストたちに同化していく。実にスリリングな読書である。2023/11/02
kou
784
明石、亜夜、マサル、塵・・・どの登場人物も活き活きと描かれており、面白かった。演奏シーンは、クラシックは詳しくないが、頭の中に勝手に情景が浮かんできて読むのに没頭してしまった。特に塵は、登場する度に強力なインパクトを残していくが、まだ謎が多いので、下巻が楽しみで仕方ない。下巻では、4人の魅力が、さらに引き出されると想うので、早く続きが読みたい!!2019/08/13
カメ吉
777
音楽、特にピアノにはまったく知識や教養のないのに読めるんかな?と読み始めてちょっと後悔してけど杞憂でした。分からないなりにも読んでくうちにドンドン惹かれてしまった。4人の天才たちをひとりずつストーリーにしてコンクール出場、一次予選、二次予選を通しそれぞれの立場や思いを描いていて面白かった。その中に出逢いや恋(ほんの少し)もあっていい意味で普通の話で良かった。亜夜、マサル、明石、塵の結末に興味津々のまま下巻へ進みます。2019/04/22
南北
750
とにかく読んでいるのが楽しい小説です。ピアノの音を文字で表現するのは難しいはずですが、年齢も経歴も違う4人の登場人物たちの演奏の違いがうまく描かれています。ハードカバーの時は少し乗り遅れてしまったので、文庫版が出るのを待っていました。上巻はピアノコンクールの第2次予選の途中までですが、このまま下巻も読み進めていきたいと思います。2019/04/19
青乃108号
564
国際ピアノコンクールを舞台に腕を競う、世界中から集まったキラ星の如き弾き手達。彼等彼女等のそれぞれのコンクールに賭ける思い、それまでのエピソードがバラバラに語られるので、1日働いて寝る前の読書で少しずつ読み進めるのには向いていない。残念ながら多数の弾き手のそれぞれの初期エピソードが思い出せない。非常に勿体無い。時間さえ纏めて取れるなら、十分読ませる作品だし、本来は是非一気に読みきるべき作品。コンクールが始まって、各奏者の演奏の凄さ、それぞれの違った味わいを見事に文章で表現し尽くしている事に驚嘆し下巻へ。2024/10/25
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