出版社内容情報
昭和戦前期の日本では、各新聞の中国専門記者は軍人、外交官の中国通と同等の分析力を持ち、自社の論説や世論を動かし、軍や政府の方針にも影響を与える存在だった。なかでも全面戦争を回避すべく、平等な日中関係の実現を訴えた太田宇之助は、同時代の中国メディアでも高い評価を受けた。その彼がなぜ戦争協力を決意したのか。彼の足跡を詳細に追い、両国の近現代史を考察する。
内容説明
忘れられた稀代のジャーナリストの生涯に迫る。侵略に反対した記者はなぜ「戦争協力」するに至ったのか?豊富な史料から明らかにする画期的論考。
目次
序章 日本における中国認識と太田宇之助
第1章 ある中国専門記者の誕生
第2章 中国統一援助論と日中戦争前夜の中国認識の諸相
第3章 日中戦争における陸軍・汪兆銘政権への協力の実相
第4章 対華新政策と江蘇省経済顧問期の活動
第5章 戦後期の太田宇之助
補章 日中戦争期中国の日本通ジャーナリストの対日認識―陳博生の軌跡
終章 太田宇之助と日中現代史
著者等紹介
島田大輔[シマダダイスケ]
1982年静岡県生。公益財団法人東洋文庫奨励研究員。立命館大学文学部卒業。中央大学大学院総合政策研究科博士前期課程修了。早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程満期退学。博士(社会科学)。早稲田大学社会科学総合学術院助手、立命館大学立命館アジア・日本研究機構研究員、同専門研究員、早稲田大学社会科学総合学術院講師、日本学術振興会特別研究員(PD)を経て現職。専門は、日本近現代史、日中関係史、メディア史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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