出版社内容情報
日本の歴史の重大な変革期、南北朝内乱は武家のみの争いではなかった。天皇・朝廷が並立し、従う貴族も分裂し正統を主張した。建武新政以来朝廷の中心にいた洞院(とういん)公(きん)賢(かた)とその日記『園(えん)太暦(たいりゃく)』を軸に、この時代を読み解く。
内容説明
日本の歴史の重大な変革期、南北朝内乱は武家のみの争いではなかった。天皇・朝廷が並立し、従う貴族も分裂し正統を主張した。建武新政以来朝廷の中心にいた洞院公賢とその日記『園太暦』を軸に、この時代を読み解く。
目次
序章 日本の貴族
第1章 西園寺家と洞院公賢
第2章 複眼でみる建武新政
第3章 北朝左大臣拝任
第4章 貞和の戦局
第5章 京都の生活と風聞
第6章 和談は踊る
第7章 天下一統の春
第8章 後光厳天皇
第9章 文和の時勢粧
第10章 戦争と平和
第11章 晩年の公賢
第12章 筆のあと
結章 新しい武家貴族の登場
著者等紹介
林屋辰三郎[ハヤシヤタツサブロウ]
1914年石川県金沢市に生まれる。1938年京都帝国大学文学部国史学科卒業。立命館大学教授、京都大学教授、京都国立博物館長を歴任。1998年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katashin86
2
北朝の中心でありつつ、南朝王家ともつながる閑院庶流・洞院公賢の日記をもとに、「貴族」という階級の内実が公家から武家へと移り変わっていく時代を描く。2022/09/22
Teo
0
南北朝の動乱期に公家が決定的に没落する場面を洞院公賢の園太暦を参考にしながら公家達がどう動乱を見ていたのかを辿って行く。公賢が吉野の朝廷ではなく、北朝にあった事から、度重なる争いは自分の身には降りかかるものの他人事の様な感が見られた。また、公家自体に武力は無いので地方から流れる噂にはただ単に動揺するしかない有様も見えて、本当に無力化されたものだと思う。2016/12/05
NyanNyanShinji
0
鎌倉末期から南北朝期半ばまで朝政の第一線で活躍した洞院公賢の日記『園太暦』を読み解き、武士の世に移行しつつあった当時の京を、貴族の目を通して描いた。南北朝期に入ってからは京は北朝・南朝が目まぐるしく入れ替わる中、洞院公賢は有職故実の知識に優れた為、どちらにも重用されたのだが、他の貴族たちは政権が入れ替わるたびに翻弄され、武士の台頭に対して相対的に貴族の地位が落ちてゆく。その様子がよくわかった。面白かった。2021/07/25