内容説明
晩年のリクールが、討議倫理や英米圏の正義論をふまえつつ、現代世界の道徳的判断の問題が顕在化する場としての「裁判」および「医療」を哲学的に問う。『他者のような自己自身』および『正義をこえて』の続編であり、思想家が社会的・実践的な応用倫理の領域へと歩を進めた貴重な記録。
目次
第1部 研究(道徳から倫理的なものへ、そして諸倫理へ;正義と真理;自律と傷つきやすさ;権威の逆説;翻訳という範型)
第2部 読解(オットフリート・ヘッフェ『法の諸原理』;マックス・ウェーバー社会学の基本的カテゴリー;ピエール・ブーレツの『世界の約束―マックス・ウェーバーの哲学』;アントワーヌ・ガラポンの『約束の番人』;根源的なものと歴史的なもの―チャールズ・テイラーの『自我の源泉』についてのノート)
第3部 実践(正常なものと病理的なものとの違い―敬意の源泉としての;医療判断の三つのレベル;医療行為と裁判行為における決定;正義と復讐;普遍的なものと歴史的なもの)
著者等紹介
リクール,ポール[リクール,ポール] [Ricoeur,Paul]
現代フランスを代表する哲学者。1913年フランス南東部ヴァランスに生まれる。35年教授資格試験に合格。マルセル、ヤスパースの実存哲学とフッサールの現象学の影響を同時に受ける。39年第二次世界大戦に動員され、捕虜となって45年まで収容所生活を送るが、その間にフッサールの『イデーン1』を仏訳。48年ストラスブール大学の哲学史講座を担当。50年国家博士号を取得。56年よりパリ・ソルボンヌ大学で教え始め、66年からナンテール校に移る
久米博[クメヒロシ]
1932年生まれ。57年、東京大学文学部卒業。62年、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。67年、ストラスブール大学プロテスタント神学部大学院修了。同大学宗教学博士。95年より立正大学教授
越門勝彦[コエモンカツヒコ]
1973年奈良県生まれ。2006年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)学位取得。現在、宮城学院女子大学学芸学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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singoito2
やなお