内容説明
神霊・祟り・天変地異…古来、人々が畏怖を抱き、不思議だと思い、息災を祈った非日常的なコト・モノは媒介者によりどのように言語化され、表現され、今日まで伝わるのか―。古記録や歴史書、説話、伝承、絵画といったあらゆる資料を渉猟し、王権・政治・祭祀・信仰・寺社・都市・村・生活・暮らしなど多様な視点から「怪異」とそれに対する人々の営みを読み解いた画期的入門書。
目次
序論・怪異学の視点
総論 怪異学とは何か(日本の怪異・中国の怪異・その西方の驚異;国家統治と怪異 ほか)
各論 怪異から考える(王権と怪異(社寺と怪異―春日社の山木枯槁を中心に;奇談と武家家伝―雷になった松江藩家老について ほか)
信仰と怪異(勝利に導く祖霊;霊験・神異・感通―中国仏教における怪異なるものへの態度 ほか)
人のいとなみと怪異(村と怪異;近世京都の小社と怪異 ほか))
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
∃.狂茶党
8
あの感覚であってこの感覚ではない。 怪異はあくまでも感じられるもので、うちに生じるものではない。 恠異ははっきりとは現れない何かである。2022/11/17
さとうしん
8
入門書ということで各篇とも読みやすい文章となっている。「天」の思想に裏付けられた一神教的な中国の怪異と、多神教的な日本の怪異、執筆者の関心によってバラバラの怪異論の寄せ集めに見えるが、冒頭の総論と各部ごとの総説によってうまくまとまりを持たせている。また日本の「警告する始祖たち」の姿が『左伝』に見える諸侯の始祖神の姿を想起させるなど、日中の共通点も何となく見出せる。2021/09/20
もち
1
半分以上日本についてではないかと思う。「道教と神降ろし」でのフーチー、豆腐小僧と疱瘡、マンが悪いといわれたツキノワあたりに興味を持った。2022/03/04