内容説明
日本人は、自然をどのように捉え、共生してきたのか。自然環境を日本文学はいかに表象してきたのか。それは花鳥風月に極まるのか。それとも、多様性、多層性に満ちているのか。四季と風景として分節され、高度に記号化された二次的自然表象の世界。それを脱構築する野生と他者性のまなざし。自然環境へのまなざしの根底にある心性を歴史的に再照射し、人間中心の自然/環境理解から有機的な相互性の課題へと向かう。日本における新たな環境文化論の定立をめざす試み。
目次
自然という他者―声と主体のゆくえ
座談会 環境という視座
1 二次自然と野生の自然
2 自然描写の近代と前近代
3 文化表象としての環境
4 中央と周辺