内容説明
いま、自殺者の90%近くが、うつ病、統合失調症など、自殺時に精神障害の診断がつく状態である。その一方で、純粋に心理的な要因で起こる自殺もある。先天的あるいは後天的な生物学的メカニズムとの関連も解明されなければならない。詳細な実地調査に基づいて、多元的な要因をもつ自殺という複雑な現象に光を当て、その実態と予防策を探る。
目次
旅の始まり
自殺と精神障害の関係
心理学的剖検―世界初の地域調査
日本の自殺―一九九五年まで
東京での心理学的剖検調査―「実行」編
日本での心理学的剖検調査実施を考える
遺族の悲嘆反応―追跡調査の結果
日本の自殺と精神障害の関係―東京調査の結果
精神障害が自殺にどのように関与するのか―解離仮説の提唱と検証
自殺の生物学
現代日本の自殺―一九九八年の自殺激増以降
人はなぜ自殺するのか
著者等紹介
張賢徳[チョウヨシノリ]
現職、帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科科長・助教授。1965年大阪にて出生。1991年東京大学医学部卒業後、帝京大学医学部附属市原病院・本院にて臨床研修に従事。1997年英国ケンブリッジ大学臨床医学系精神医学博士号取得。1997~99年帝京大学市原病院精神神経科講師。1999~2004年帝京大学溝口病院精神神経科科長・講師。2004年~現職。専門は精神医学と自殺学で、自殺と精神障害の関係について研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Y / N
1
いじめ,孤独,リストラ,多重債務,介護問題ーー現代日本で,人が自殺に至るまでどのような人生の物語をたどるのか,その類型を知りたくて読んだが,そうした情報は全く得られなかった。あくまで自殺を『医学モデル』という一側面から捉えたにとどまる。これが心理学的剖検調査の限界かもしれない。 自殺者が生前にどのような精神科診断に当てはまる(あるいは当てはまらない)傾向にあるのか,そしてうつ病や統合失調症の経過の中で自殺行動がいかに生じるのか,この2つを知りたい人にはお勧め。2014/02/16
ひろか
1
自殺の心理学的剖検を軸に、著者の自伝にも思えるほど、ライフワーク的な作品。2011/03/13
どり~☆
0
図書館◎2016/10/04
kumazusa
0
記述が冗長だった(同じこと書きすぎ)が、日本で自殺研究が外国に比べて遅れている訳や、自殺がどのように起きるかなどが筆者の考えとともに考察されていて大変興味深かった。自殺をしたほとんどの人が精神疾患を患っていて、それは日本と欧米で変わらないが、その構成は異なるなどへぇなるほどと感じることが多かった。2012/10/03
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