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いじめ加害者を厳罰にせよ

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  • サイズ 新書判/ページ数 189p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784584123867
  • NDC分類 371.45
  • Cコード C0236

内容説明

メディアを騒がした大津市のいじめ自殺のような事件は80年代半ばから、繰り返し大きく報道されては忘れられてきた。問題は学校が社会の常識から乖離した閉鎖空間になっており、「加害者を処罰する」そんな当り前が通用しない治外法権の場になっていることにある。いじめの蔓延を防ぐための唯一の手段は、聖域と化した教育現場に市民社会のルールを導入することなのだ。本書ではいじめが起こるメカニズムの分析から、学校、教育委員会、市政といった教育ムラによるいじめ隠蔽の構造、ネットに流出する加害者の個人情報、マスコミ報道の問題点まで、いじめ研究の第一人者である著者が踏み込んでいく。

目次

第1章 大津いじめ自殺事件は特別ではない(大津いじめ自殺事件の起こした波紋;いじめ事件に驚く人々 ほか)
第2章 いじめ発生のメカニズム―なぜいじめが蔓延するのか(「学校モード」と「市民社会モード」;学校という名の強制収容所で ほか)
第3章 いじめ隠蔽の構造とマスコミ報道(教育現場の隠蔽体質;教育ムラの論理 ほか)
第4章 いじめの蔓延を防ぐには(無力ないじめ対策;カリスマ先生は量産できるか ほか)
第5章 個人はいかにいじめに対処するか(いじめは対岸の火事ではない;チェックリストの害 ほか)

著者等紹介

内藤朝雄[ナイトウアサオ]
日本で唯一、感情的・道徳的ではなく、いじめの冷静な分析をすることができ、有効な政策を提言できる社会学者。1962年東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程を経て、明治大学文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

mana

104
いじめが起こる学校は、子どものルールがあるムラ。隔絶された聖域で、「ノリ」がすべて。学校では、クラスみんな仲良くを強制され、嫌と言えない空気が出来上がっている。そして、学校には法律がないに等しい、治外法権であることも指摘。独自路線から語っておられて、面白いと感じた。いじめは簡単には語れない問題であるが、さまざまな切り口から考えてみるのがいいかもしれない。どれだけ子ども目線になれるか。誰だって子どもだったはずなのに、忘れてしまうんだよね。2025/11/20

katoyann

25
学校は市民社会の論理が通用しない監獄と同じような施設であるため、内部に独特のノリ(=同調圧力)が生じ、いじめが起こりやすい場であると説明している。タイトルの通り、いわゆる「人権派」が加害生徒の可塑性を信じ、結果として加害者が罰せられることがなく、尊重されるべき被害者の人権が踏みにじられたままであるという問題を提起する。解決策はラディカルで学級制度の廃止、1つの学校に通う制度の見直し、いじめ加害の警察への通報などが提唱されている。いじめ被害が深刻化するのは学校を聖域化する全体主義のせいという批判は真っ当だ。2022/09/15

白義

17
学校というのは独特の「ノリ」が支配する小さな全体主義社会であり、一般的な倫理、常識といったものは通用しない。だからこそ、学校に警察を介入し、いじめっこを犯罪者として捕らえることで、その全体主義を解除するべきだ、という趣旨のもと、いじめ問題を取り巻く教育業界の閉鎖性から旧時代的なマスメディアの偏見まで、広く構造的な議論をしていて、同氏の単著でも最も読みやすくなかなかの良書。いじめが起きると、小役人的なことなかれ主義から学校や教育委員会がそれを隠蔽し、地域や保護者までそれに荷担する異常さ2014/05/01

たこやき

9
やや駆け足ながら、過去の書で述べている閉鎖空間という状況がイジメを発生・凶悪化させることを主張。そして、題名にあるように、司法の手を入れることで、その状況を打破する。その点については異論の無いところ。また、メディア報道などでありがちな言説は、構造の問題を心の問題に矮小化するなどの指摘も重要だと思う。一方で、全体的に論拠が弱く、隠蔽の構造を扱った3章では、大津のいじめ事件を週刊誌報道を下に「こうだ」といったり「?」と感じるところも。少年法についても一方的で、過去の書に比べると「?」がつく部分が多い。2012/10/17

Akio Kudo

4
★★★★ 少し独善的で口述筆記なのが気になるが、説得力はある。乱暴な論理展開に見えるが、いじめを学校生活という閉鎖空間の出来事ではなく、社会化して対応する必要があるのは正しい。2017/11/09

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