内容説明
天皇に刃向かえば祟られる。長い間人々は、こう考えてきた。十万という軍勢を統率する武士団でさえ、もし「錦の御旗」が掲げられたら、戦うことなく退散することを考えていた。いったい「天皇」のどこに、そのような不思議な力が秘められていたのか。邪馬台国からヤマト朝廷にいたる、日本の歴史の黎明期に登場する女神たちの悲劇を発掘することで、天皇家の不可侵性の起源を解き明かし、さらには歴史の闇に隠された天皇家誕生の秘密に迫る。
目次
序章 不思議な王権―誰が天皇システムをつくったのか
第1章 ヤマト建国の裏側―祟られる天皇の謎
第2章 祟る邪馬台国の女王―神功皇后に隠された天皇家の秘密
第3章 神(鬼)の名を冠した天皇―ヤマト建国に至る本当のシナリオ
終章 天皇が日向から来た謎―天皇の不可侵性をつくった女神の祟り
著者等紹介
梅沢恵美子[ウメザワエミコ]
東京生まれ。『万葉集』・古伝書などから独自の古代史像を構築
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感想・レビュー
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活字スキー
14
あ~、これはタイトルをちゃんと確認しなかった私が悪いな。日本の古代史なんて角川ソフィアの『古事記』くらいしか読んでないから、『日本書紀』を叩き台にして著者の推測(想像)全開で天皇家の起源に迫られても「そうであるかもしれぬし……そうでないかもしれぬ」以外のリアクションがとれませんでした。近代以降の具体的な話が聞きたかったんだけどな……。とりあえず、なぜ天皇家が続いてきたのか乱暴に一言でまとめると「政治的に利用しやすい制度だったから」じゃないでしょうか。←バチ当たり2015/07/10
hyena_no_papa
4
感想文を書いてみたが内容的にいかがなものかと言う気がしたので熟考してから投稿するかどうか判断することにした。2023/12/04
木ハムしっぽ
4
7世紀に編纂された日本書紀や古事記に書かれている天皇に纏わる神話の矛盾を、各地の神社伝承などから筆者の仮説に基づいて紐解いている。一見すると荒唐無稽な神話には、政治的な思惑と不都合な史実が隠されているとする考え方には共感できる。神功皇后とヤマト政権との関わりは神話に隠されたドラマとして興味深かった。2021/06/22
Kentaro
2
天皇に逆らわない、いわゆる不可侵性は大和朝廷の黎明期に起きた逃走劇において神武天皇の母親に当たる「トヨ」が出雲から北陸の糸魚川の南方の平牛山に逃げ込むも火を放たれ、入水自殺をすることになる。以降、この祟りとして水害や冷害が起きたりと、天皇家に何か問題が起こると祟りとしての天変地異がおき、これが日本人に刷り込まれたがゆえ、不可侵性が醸成されたとの説です。2016/11/30
讃壽鐵朗
2
記紀には非常に興味をもっているので、その一環として読んでみた。 しかし、あまりにも仮定の多い論理の進め方で納得いかないことばかりであった。 小椋一葉の書きぶりと似ていて、女流古代史家に共通な処があると感じた。2013/11/28