出版社内容情報
日本人は「無宗教」と言われるが、はたして本当にそうか。実は、日本人は高度に「宗教」的な民族なのではないか。「日本型政教分離」を軸に日本人の宗教観の変遷を読み解く。
内容説明
日本人は「無宗教」と言われるが、本当にそうか。かつての日本では、宗教と習俗とが補完し合う形で人々の心を支え、社会や共同体を支えていた。ある時期まで、日本人は十分に「宗教的」だった。では、いつから日本人は無宗教になったのか。どうして無宗教になったのだろうか。日本人の間に「無宗教」が生じた時期、その背景について歴史民俗学的考察を試みる。
目次
第1章 かつての日本人は宗教的だった
第2章 近世における「反宗教」と「脱宗教」
第3章 本居宣長と平田篤胤の思想
第4章 幕末に生じた宗教上の出来事
第5章 明治政府は宗教をいかに扱ったか
第6章 明治期における宗教論と道徳論
第7章 昭和前期の宗教弾圧と習俗への干渉
終章 改めて日本人の「無宗教」とは
著者等紹介
礫川全次[コイシカワゼンジ]
1949年生まれ。在野史家、歴史民俗学研究会代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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bapaksejahtera
5
著者自ら宗教定義に迷いつつ論を進めるが抑々明治期本家の欧米も定義不可のreligion概念にこの語を当てたのであるからその点は仕方がない。著者の論点は江戸期まであった宗教と民俗の安定した関係を維新と明治の国家神道がこれを破壊した。更に戦後は信仰習俗すら喪失した。オウム事件は無宗教化に拍車をかけたという物。私はこの見解には疑問である。年末年始神社仏閣への人出やテレビ頻出のパワースポット巡りどう説明するのか。今日の欧米人は果たして宗教的なのかも疑わしい。とはいえ著者は自らを知的高みに置かず丁寧に論を進めている2020/07/17
ユウユウ
1
☆12024/08/03
みずたま
1
江戸以降の日本の宗教についての考察。江戸時代から仏教の権威が薄れ始め、廃仏毀釈によって破壊される。その後も国家神道が頓挫し、日本の宗教はさらに存在感を失っていく。宗教とともに存在していた習俗も、崩壊に瀕している。日本人の心の拠り所は今どこにあるのだろうか。2020/06/08
九澄屋
0
僕の住むド田舎では宗教・セールスお断りの一文をインターホン下の注意書きやポストでよく見かけるが、個人的には色々な宗教の話を聞くのが好きなので、よくよく話をしてみると押し付けがましい勧誘はまったくと言っていいほど無く、自分の考えを伝えてみれば理解と尊重していただけ、話が終わる。なぜそこまでみんな宗教を嫌っているのか、というところからこの本を読もうと思った次第です。自分の体験に対する答えは得られなかったが、習俗・権力との関わりから日本人の無宗教についてアプローチしています。2021/05/31